奈良さんの作品を見ながら、ふと頭をよぎった言葉が
2012年の奈良さんの展覧会のタイトル
「君や 僕に ちょっと似ている」
でした。このフレーズが、ほんっとに奈良さんの作品の素晴らしさを一言で言い表していると思うのです。
奈良さんの作品を見ていて、「誰かに似ている」って思ったことはありませんか。
私にはあります。
私の周囲の人もそう言っている人が多い。
似ている人は、子ども時代の自分自身だったり、自分の子どもだったり、友だちだったり。
うちの娘も奈良さんの絵に似た表情をすることがあります。
例えば、寝顔とかね。
親子で横並びに布団で寝ているのですが、朝目が覚めると「なんか、横に奈良さんの絵にそっくりな子どもが寝てるなあ」と思うこともしばしばですw
奈良さんの絵に出てくる子どもは、奈良さん自身の心の中にいる子ども(自分自身)の姿、すなわちセルフポートレートだと思っているのですが、そういう極めて個人的なものを、鑑賞者に「ああ、自分自身の子ども時代に似ているな」「○○さんに似ているな」とか思わせる。正確に言うと、思い出させている。普遍的なものにしている。
そこが本当にすごいと思うのです。
無意識の自分の発見、あるいは他人の発見になっているというか。
さらに、このフレーズのすごいところは、奈良美智さんの作品は、「君や 僕に」に似ている。ってところで終わってるところ。じゃあ、君と僕は似ているかというと分からない。
でも、このフレーズにニュアンスを考えると、君と僕との間には見えざる距離みたいなものがあると思うのです。
↓君とぼくと奈良作品との関係を図にしてみました。
作者である奈良さん自身が、自身の作品と君や僕との関係、また君と僕との距離みたいなものを意識している・・・かなり面白いし、画期的だと思いました。
この「君や 僕に ちょっと似ている」の話は、2012年9月号の美術手帖に椹木野衣さんが、すんばらしい文章を寄せていますので、機会があればぜひ。
ちょっと視点は変わりますが、奈良さんの「ともだちがほしかったこいぬ」という絵本は、「君と僕との距離」や「孤独」みたいなものを描いた割と初期の作品かなあと思っています。
実は、この「こいぬ」をモチーフにしたグッズが我が家にもありましてw
まあ普通にかわいいなーと、かわいがっていたのですが
割と最近に、このこいぬが主人公になっている上記の絵本を読んで衝撃を受けました。
このこいぬ、実は巨大犬だったんですね。。
巨大過ぎて、友だちがいないという。
で、小さな女の子に「いぬがいる」って気づいてもらってって話なんですけど・・・
※どれだけ巨大な「こいぬ」かは絵本を見てご確認くださいませ。
えーーー、そうだったのと衝撃を受けました。
長らく、奈良さんファンをしてて、こいぬグッズも「かわええのう」とか言ってた私がアホに思えました。。
まあ、そうすると、青森県立美術館の「あおもりけん」の捉えかたも全然違って来まして。なんか、すーーーっごく見たくなりました!
あの巨大さゆえの孤独を、作品を見て実感したい・・。
夏休みあたり、娘と一緒に行きたいなと思っています。
そして、美術館限定のあおもりけんの貯金箱を2つ並べて
孤独じゃないあおもりけんにしてみたい!
最近のちょっとした夢ですw
↓イメージ
次のエントリでは、最近作った奈良さん作品をモチーフにしたお菓子のことを書きたいと思います。