ボナール展@国立新美術館に行って来ました。
ポスターを見たときから、ずーっと気になっていました。
あの伸びきったにゃんこは何?
やわらかくてふわふわした、あの独特の色遣いは何?
「視神経の冒険」ってどういうこと?
展覧会に行ったら、全部氷解しました。
で、展覧会自体もすっごくよかったです。
こんなに幸せな気持ちになった展覧会は久々。
ボナールは一応ナビ派に属するのかな・・。
印象派ぽくもあり。
でもナビも印象派もすべて超越した存在のような気がしました。
奥様の入浴する姿を描いた作品はジャポニズムの影響と言われているけれど、私は単に奥様の入浴シーンが美しくて、そのまんま描いたように思いました。
描かれる風景がすべて幸せな場面。
普通の絵なら愛すべき人物、動物は、作者の意識によって焦点が結ばれ、
ハッキリとした輪郭線をもって描かれるところ、ボナールの作品では背景の色と溶け合い、愛すべきものたちが「画素」の一部になっている。
「視神経への冒険」
まさに!
また、愛すべきものたちは輪郭はハッキリせず、背景の一部として溶け合っているのに画面全体から幸せな雰囲気が伝わってきて、これはすごいなと。
ボナールの絵を見ながら、私が連想したのは清水玲子の傑作マンガ「秘密」。
ボナールの作品は、あの「秘密」みたいに、誰かの脳から取り出した記憶を読み出して映像(画像)化した・・・
と勝手に設定して、鑑賞し始めたら、やたら感動してしまって。
どれもこれも幸福な記憶ばかり。
で、絵の中のあのボヤけたところは、脳から取り出した記憶が鮮明ではないから
と勝手に設定(マンガでも記憶が鮮明ではないから映像にノイズが入ってるシーンがある)。
この設定も、自分の中では妙にリアルでw
特に最後のコーナ「終わりなき夏の風景」あたりで、かなり目頭熱くなってしまいました。
あと、「目を離すな、色が意味あるものに変わる瞬間から」
という言葉もすっごく好きです。
ボーナルの絵って、これだけ構図も遠近感も不思議で、ぼんやりとした絵で。
目がとらえた形や色がものとしての意味をなす前の状態のまま絵にすることにこだわった絵のはずなのに、絵全体としてはこれ以上ないくらいの多幸感が漂う。
このギャップみたいなものがほんと不思議だし面白かったです。
あと、展覧会の最後に絵画体験「AIT」の体験ができるコーナがありまして。
ボナールが描いた風景を実際の風景から補完したような映像を見せてくれるというものなのですが(映像自体もきれい)、実際の風景から絵の風景へのグラデーション加減が、ほんと「視神経への冒険」というコンセプトにぴったりで、よかったな~。
展覧会は12/17(月)まで。
かなりおすすめの展覧会です。
おまけ。
お土産。
エルメコラボのイスパハン味のマドレーヌ。
めっちゃイスパハンの味がして、美味。
パッケージも素敵でかなり満足度高かったです!