今年最初の美術館は、東京都写真美術館へ。
いま東京都写真美術館では3つの展覧会が開催されているのですが、そのどれもがかかなり面白くて、大当たり。かなりおすすめです。
※今週末(-1/26)で終了なので、見たい方は早めに足を運ばれることをお勧めします。
3つ分記事を書きたいところですが、まずは個人的に一番面白かった「至近距離の宇宙展」を。
私たちが行ったときは、ちょうど担当学芸員さん(武内厚子さん)のガイドツアーがはじまったばかりで、最初の藤安さんの作品の解説が始まったタイミングでJOINしました。
様々な双子の写真シリーズ。いきなり面白い。
これ、何が面白いって、双子をそれぞれ別の場所で撮影しているところなんですよ(子どもの双子は例外)。子どもの写真も面白いのですが、圧倒的に面白いのが大人。双子がそれぞれ成長した後、どのような生活をしているかが、被写体の表情のみならず、写真の背景や服装、髪型、様々なディティールから読み取れる。実は、作家である藤安氏自身が双子の片割れで(ご本人とその兄弟の写真もある)、双子だからこそ向き合わなくてはならない意識や問題、そういうものを感じながら写真を撮影したというのを聞き、納得。
あと、面白かったのが、双子の片方しか撮影していない作品もあったこと。
これは意図的なものだと思うのですが、片方しかない作品を見て、この双子の片割れはどんな人なんだろう?と想像が広がるんですよね。
作品の展示方法も含めてしょっぱなから心打ち抜かれてしまいました。
あと、井上佐由紀さんの作品も良かったなあ。
赤ちゃんが生まれて目を開いた瞬間をとらえた作品。そう、最初に光を見た瞬間を撮った作品。いやー、思わずうちの娘が生まれたときのことを思い出しましたよ。赤ちゃんって生まれたばかりのときって視力がすごく弱いんですよね。だから、たぶん形というより光とか色とかしか分からない。
その透明な目が、ある人の目に通じる。
井上さんのおじいちゃんの目。
井上さん自身、この赤ちゃんの作品を撮ろうと思ったきっかけが、このおじいちゃんの目だったそうです。最後に見た光とはなんだったのか。
翻って最初に見た光とはなんだったのか。
それで生まれたばかりの赤ちゃんの写真を撮影しはじめたそうです。
生まれたばかりの赤ちゃんの目の動きって、赤ちゃんごとにだいぶ異なるようで、ものすごくあちこちに目を動かす赤ちゃんもいればそうでもない赤ちゃんもいるとか。あと、作品の展示にライトボックスを使っているのもすごくよかったなあ。まさに光で「光を見ている人」を映し出す演出。
これは子どもを産んだことのある人、生まれたばかりの赤ちゃんのお世話をした人ならかなりかなり刺さる作品だと思います。
あと、ポスターにも使われている齋藤陽道さんの宇宙を見ているような赤ちゃんの写真、キラキラと星のように光っているのは、太陽光に反射している埃とか。
ああ、あるなあこういう瞬間。
それを赤ちゃんと一緒に撮って宇宙を見ているみたい。井上さんの作品とのリンクもありつつ、すごく気に入った作品でした。
いろんな作品が「対」になっているのも面白かった!
あと、相川勝さんの作品。これね、まるでアメリカのどこかを撮った作品のように見えますが、ビデオゲームの画面を印画紙に焼き付けたものだそうです。
どこにもない町。
真ん中にあるのは、私たち親子も作ったことのあるフォトグラム。
あと撮影しそびれましたが、奥にある「AIが作った人工的なポートレート」もよかったなあ。
あと、びっくりしたのが、この濱田祐史さんの作品。
もう山の写真にしか見えないのですが・・・
アルミホイルで作った山だそうです。びっくり。
どれもかっこいい山の写真(でもアルミ)。
濱田さんはある日、自分の受け取った山の絵はがきを見て
「これって本当に山なんだろうか?」と思ったそうです。
絵はがきに描かれているのは、イメージとしての「山」であり
絵はがきを見た自分が頭の中で自分のイメージを当てはめてみているのではないかと。
私は最初から「アルミの山」と解説を受けてから見てしまったので、もうアルミの山にしか見えないのですが、解説を聞かなかったら多分ふつうの山の写真にしか見えなかったと思います(そして、私の中の山のイメージに当てはめて「山」と認識していたと思います)
この濱田さんの作品は、ショップでも販売していました。リビングに飾る用に買いたくなりました・・・・。
そして、最後は八木良太さん。八木さんの作品を見るのは久々だったのですが、これがめっちゃ面白かったー。
写真だと分かりにくいのですが、これパンチングメタルの箱なんですよね。動くと・・
模様が変わる。
あと、色盲検査のドット(これも写真作品だそうです)。これふつうの色盲検査とは色の配置を変えていて、いわゆる赤緑色盲の人でないと字(「EYE」)が見えないようになっているとのこと。
こうやって写真で見るとなんとなく見えるのですが、展覧会の会場ではほとんど見えませんでしたね。
ちなみに八木さんがこの作品を別の展覧会で展示したとき、展覧会の最終日あたりでようやく「見えたという人がいました!」とギャラリーの人から連絡があって、すごくうれしかったとカタログに書いてありました。
うん、分かるw
これも分かりづらいのですが、両側にカラフルなドットが貼ってありまして、まんなかのキューブ型の鏡の前に立つとドットの立体視が出来て、立体的に見える仕組み。壁の作品だけ見ると、ダミアン・ハーストの「spot painting」シリーズ みたいなんですが、これを立体視するとは。
この作品の奥のもパンチングメタルの作品。回転します。
八木良太さんの作品。 pic.twitter.com/CYk20WSLZN
— めぐみ (@megkurotsubaki) 2020年1月7日
とにかく見ごたえのある展示、しかも粒揃い。
写真美術館はリニューアルしてからよく足を運ぶようになったのですが、武内厚子学芸員が担当する展覧会は毎回とても面白くて、親子で楽しませてもらってます(ついでに写真美術館の親子ワークショップも!)。
今回も娘ともどもかなり楽しませてもらいました。
また、武内さんが当日ガイドツアーをしているとき、私たち親子のことを覚えていてくださって、声をかけてくださったのもうれしかったです。ありがとうございました。
※2020年1月24日(金) 14:00~武内学芸員の本展ラストのガイドツアーがあります。かなりお勧めです。お時間ある方はぜひ。
関係ないですが、写真美術館でちょっと休憩するなら
メゾンイチ、お勧めです。
今回私たちは恵比寿アトレのつばめグリルでランチしてから行ったので利用できなかったのですが、落ち着いているし、パンやキッシュも美味しいし。ぜひまた行きたいと思います。
→アトレのつばめグリル、あんまり落ち着かなくて、メゾンイチにすればよかったとちょっと後悔しましたw