美術部部室の中の人のブログ

アート好きな50代の女のブログです 

2020年のベスト展覧会 その2

後半6~10について書いていきます。

※長くですみません。もう少しお付き合いください。

 

6.河鍋暁斎展@東京ステーションギャラリー 

www.ejrcf.or.jp

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これもコロナ渦ならではの展示だったように思います。本来であればハリーポッター展が開催されるはずのところ、開催できなくなり、急ごしらえで準備したと聞きましたが…結果、めっちゃ見ごたえのある展覧会でした!河鍋暁斎、下絵だけで(いや、下絵だからこそ)ここまで楽しめるってどんだけすごいのか。改めて河鍋暁斎のファンになってしまった展覧会でした。

 

7.MANGA都市TOKYO展@国立新美術館

すみません。これもレビューが書けてないんですが。面白かったなー。豊富すぎる日本のマンガやアニメのコンテンツをどう紹介するのか、と考えたときに「トウキョウ」という都市の風景を切り口にしたら、ちゃんと「アート」としての展覧会というか、文化や社会学、都市学、建築学が見えてきて。観る面白さに加え「読む面白さ」もあふれていた展覧会でした。自分自身、東京生まれ東京育ちですから、自分の過去の経験なども重なって、既に知っていたアニメやマンガもまた違った解釈ができたのも◎でした。

例えば、「ゴジラ」や「はいからさんが通る」も、東京という都市や都市の災害が結構重要なファクタになっていて、なるほどと。特に「はいからさん~」は、フェミニズムだったり女性の成長物語としてしか見ていなかったけれど、東京という都市の歴史(ラストは関東大震災!あの燃え盛る東京での紅緒と少尉!)としてもかなり印象深い作品ですからね。

この展覧会で知った作品もたくさんあって、特に展覧会の直後に見た原監督のアニメ「百日紅」や、大友監督の「火要鎮」、押井監督の「人狼」は、作品自体もすっばらしかったのに加え、展覧会で見た都市の文脈が加わるとかなり味わい深い作品でした。

※本展の展示作品リストは私の宝物です★★manga-toshi-tokyo.jp

 

8.古典×現代 2020@国立新美術館

これもすごくよかったなあ。特に円空と棚田さんの彫刻とのコラボ空間は忘れがたいです。人間の目に見えないものを、人形(ひとがた)を通してその視線の向こうにあるものとして描く。鑑賞しながら、円空と棚田さんの作品、2つの異なる作家の作品の視線の向こうにある世界が不思議に共存するのを感じる。稀有な体験をさせてもらった展覧会でした。

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9.大阪万博展@T-ART HALL

 これも忘れ難い展覧会でした。個人的に印象的だったのはやはり万博の映像と、西野達さんの作品。あの万博の映像はほんとすごかったな~。当時の万博の熱狂が焼き付けられていました。私は万博のパビリオンなどのデザインが好きで、都築さんの本で見たりしていたけれど、ああ、これが万博の熱狂かと。「すごいな」と感動すると同時に、「今後これほどの熱狂をもたらすイベントってできるの?」と、なんとも言えない気持ちになったのも確か。2025年に大阪万博が開催されますけど、もうここまでの熱狂はありえないんだなと。だとすれば、万博はどのあたりを落とし所にして成功に導くか。。たいへん面白い展覧会でしたが、ネットの普及で新たなテクノロジーが「現物なし」で伝えられる、今、万博をやる意味ってなんだんだろうと改めて考えさせられた展覧会でした。

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10.至近距離の宇宙展@東京都写真美術館

中野正貴写真展「東京」@東京都写真美術館

今回、ベストを選ぶために、自分のカメラロールを一年分ざーっと見直してみたのですが、写真を見て見たときの一番印象が蘇った展覧会が本展でした。どの作品もおもしろかったー。東京都写真美術館のキュレーションの凄さを実感した展覧会でした。

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また同時開催されていた中野正貴展も、バブル以降の東京の歴史を焼き付けた写真群がかなり面白く、東京育ちの自分は思わず興奮。いやー、お台場って工事中、ほんっとに何もなかったんだなーとか、この建物、もうなくなっちゃったんだなーとか。自分も個人の思い出と重ねて都市の歴史を味わう年齢になったのかと、しみじみしました。

それと、本展に展示されていた「誰もいない銀座の写真」なども、今思うと、その後のコロナ渦の東京の風景を予見しているような作品でしたし。これは2020年印象的だった展覧会には絶対入れたいなと思って、10に追加しました。

 

2020年の展覧会の振り返り。コロナ渦があったので、美術館に行けない期間もありつつ、ほんとよく見たなと思います。また、コロナ渦のおかげと言っては何ですが、振り返ったときの展覧会の印象がより複雑さと深みを増している気がしました。なので、個人的には、例年以上に展覧会の振り返りが面白く、自分としては精神的豊作感のある一年でした(美術館はほんと大変だと思いますが。。)

 

2021年も面白い展覧会がたくさん開催されます。

まずは健康に気をつけつつ、できる範囲で美術展に足を運びたいと思います。