美術部部室の中の人のブログ

アート好きな50代の女のブログです 

2022年展覧会ベスト10 その2

⑥歌枕展@サントリー美術館

サントリー美術館の展覧会は毎回どれも面白いのですが、今回のテーマは「歌枕」。いわば見えないものをテーマとしているわけなのですが、様々な作品から呼び起こされる私の中の(どこにもないけれどどこかにある)見えない風景に改めて日本人であることを実感させられました。吉野山、八つ橋、龍田川…。この見えない美しい風景が昔の日本人の心にも存在し、そして今の日本人の心の奥にしっかりと存在することの面白さ、喜びを感じました。
www.suntory.co.jp

 

 

⑦日本の中のマネ展@練馬区立美術館

www.neribun.or.jp

今年見た中で一番衝撃を受けた展覧会です。まず前半の展示。日本におけるマネ作品の受容について、ものすごく長ーい(しかも読みづらい)キャプションが添えられていて読むだけでヘトヘト。しかもマネ作品って地味め…。展覧会の前半見終わった段階で「この展覧会に来たのは失敗だったかも」と思ったのですが、展示の後半、特に福田美蘭さんの作品から急展開。

そのマネ解釈の「どうしたらいいの感」がそのまま福田美蘭的な手法で表現されているのです。しかも作品数も多数。どの作品も攻めまくり。福田美蘭ファンの私は大興奮。

個人的にツボだったのが、ニュース映像などに登場するゼレンスキー大統領を描いた作品。最初どう解釈すればよいのか分からなかったのですが、確かにゼレンスキー大統領がまっすぐこちらを見ている姿はマネ作品で描かれる人物の目線に似ている(《フォリー=ベルジェールのバー》とか)。

www.tokyoartbeat.com

この作品を見てから、ゼレンスキー大統領の画像を見るたびマネ作品っぽいなと思うようになってしまいましたw

展覧会の作品をすべて見終わった後、あの前半の退屈な展示はすべて福田美蘭さんの作品を引き立たせるための展示だったのでは…と思うほど。とにかく見終わった後の混乱感が半端なく、かなりかなり印象に残った展覧会でした。

 

⑧観察と発見の生物学@国立科学博物館

www.kahaku.go.jp

カハクの展示はそれだけで素晴らしいものですが、日本デザインセンター三澤デザイン研究室の展示はそれ自体がアートのようで楽しかったー。展示品(主に剥製)について引き出しを使いながら「展示物を脳内の理解の仕方に従って展示するとこういうことになる」を展開していて、体を動かしながら(引き出しを引き出しながら)驚きと発見を楽しめる仕組みに感動。

あまりに面白くて、2回足を運んでしまいました。この展覧会で使われた展示ボックスはポータブルなので、ほかのいろいろな博物館へも出張可能とのこと。今後どこかの博物館で見かけた際はぜひ見てみてほしいです。

 

⑨諏訪敦展@府中市美術館

www.city.fuchu.tokyo.jp

つい先日見てきた諏訪敦さんの「眼窩裏の火事」も。色々良かったんだけど、やはり静物画の部屋が素晴らしかった。あの照明!まるで映像を見ているような…いま迄見た事ない静物画がそこにありました。あと大野一雄ですよね…。あの口をあけてる感じとかめっちゃリアル。亡くなる直前の祖父、父の姿を思い出しました(たぶん死にかけの老人を見た事のある人はみんなリアルに感じると思いました)

 

⑩国立近代美術館コレクション展(特にリヒター展のときのコレクション展)

近代美術館のコレクション展はいつも素晴らしいのですが、特にリヒターのときのコレクション展が凄かった。

そして、会田誠さんの作品と福田美蘭さんの作品が収蔵されたことに大興奮。ええええこの作品、近代美術館に収蔵されたんだと驚くやら感動するやら。その他の展示作品も最高でいつも以上に大満足のコレクション展でした。

近代美術館でもお気に入りの展示スペース。展示作も毎回いいし、なによりこのお座敷スペースと椅子が素敵すぎる。確かここのインテリアの設計って菊竹清訓なんですよね。菊竹先生さすがです。

昨年は、受験生の娘(11歳)に翻弄されて美術館に行くのを躊躇した時期もありましたが、娘からも「美術館に行きたかったら行けば」と言われましたしw 

実際、美術館でリフレッシュした日の方が娘ともうまく行くんですよね。

さすがに今年は受験本番もありますからなかなか難しいかもですが、行きたい展覧会はできるだけ足を運び、リフレッシュしながら娘のサポートもしていきたいと思います。