前回のブログエントリからの続き。
展覧会で「ユディト」、「女の三時代」辺りを見ていて、
クリムトの描く女性は、どれも美しい、エロティックだけれど、男の性欲の対象のようには見えなかったんですよね。
でも、女性にはすっごく受けるというか。
何だろうこの感じ・・・・?
と思ってハっとしたのが、これって江口寿史さんのスタンスに近いのではないかってこと。
私、江口寿史さんの絵が好きで時々インタビュー等も読んでいるのですが
何年か前に、なんでこんなにかわいい女の子を描けるのですか?という質問に
江口さんが
「女の子になりたいから」
と答えていたんですね。
女の子のファッションとか、キラキラした感じとか、メイクとか。
ホント憧れるらしいです。
↓「学問のススメ」のインタビューでも答えています。
江口さん、髪の毛とか、延々と描いていたいらしい。。
分かる。
江口寿史さんの女の子のイラストの毛束感って、もう、女の子がヘアスタイリングするときに目指してる毛束感だもん!
最近の江口さんの絵で髪の毛の表現が秀逸なのが、このイラストレーションの表紙の絵。このライン!この毛束感!(表紙があまりに美しくて買ってしまいました)
顔の眼、鼻等のパーツを最小限にして、髪の毛の表現と肩のラインで見せてるこの構成とかもホント素晴らしくてため息が出ます・・・。
言われてみれば、江口寿史さんの絵ってエロな部分もあるんですが、男の性欲のために誇張されたものではないんですよね。女の子がかわいいと思えるエロ。
江口さんの「女の子になりたい」という発言で、江口寿史作品の文脈がパーっと解読できたとういか。ハッとしたのを覚えています。
で、クリムト。
「ユディト」の肌の描き方なんかも、「この女はなぜ美しいのか」を解読しようという気合いを感じるんですよね。
「女の三時代」に至っては、女性の生き方(出産や老いという変化)に対する憧れにも感じるし。
江口寿史さんの描く女の子はファッションもおしゃれだし、江口さん自身デザインが好きだから、デザインやグラフィックとしても美しい。
クリムトも、あのキンキラキンな衣装、額装も含めたデザイン。あと、ベートーベンフリーズとかはグラフィックな要素も強いし。
「女になりたい」
という文脈が頭にインプットされたとたん、展覧会の作品がみんな、ああなるほど~思えてきて。
クリムト自身は結婚しなかったらしいのですが、アトリエにはたくさんの女性が出入りしていて、非嫡子も何人かいたとか。
あの美しい女性像を描くクリムトに惹かれ、クリムトに近づく女性たち。
たくさんの女性を間近で見られ、モデルにもなってくれるのですから、クリムトも悪い気がしなかったはず。
などと妄想が膨らみます。
「江口寿史的」
というキーワードがインプットされた後で、もう一度展覧会の作品をパーっと見て、一番江口寿史的な作品だなと思ったのが「ヘレーネ・クリムトの肖像」。
顔というより、髪の毛とファッションと構図で魅せているこの作品。
すっごく江口寿史的だなと思いました(私自身もかなり好きな作品です)。
クリムト展、東京での開催は終了しましたが、豊田市美術館に巡回します。素晴らしい展覧会ですので、お近くの方はぜひ!
江口寿史さんの作品集「STEP」。展覧会に行きたかったなあ。
そういえば、昔、江口寿史さんに娘とわたしの絵を描いてもらったこともありました。
家宝にしております・・。