美術部部室の中の人のブログ

アート好きな50代の女のブログです 

2023年ベスト展覧会 その1

毎年恒例のベスト展覧会。昨年はあんまり行けていなかったから書かなくてもいいかと思ったけど「まま、そんなことない。けっこう行ってたよ」と娘に言われて、カメラロールを見直してみたら、ほんとに結構行ってたのでw 書きます。

順不同です。

①動物園にて ―東京都コレクションを中心に@東京都美術館

https://www.tobikan.jp/exhibition/2023_collection.html

同時開催の「いのちをうつす」展も大変によかったのですが、芸術作品を通して、動物園と人とのかかわりを伝える展示、あと上野動物園の草創期?の様子や藝大とのかかわりが大変面白く、見ごたえありました。個人的には象のはなこさんとの家族スナップ写真をコラージュした作品にぐっときました。

まだはなこさん存命のとき、家族で井の頭自然文化園で行ったことがあるんですよ。当時の夫がはなこさんを見て「この象、目が寂しそう。象って本来群れで生活するものだから、はなこさんも本当は誰かと一緒にいたいんじゃないかな」と言っていたのを思い出しました。そのときのこととか、人間と動物とか「動物園」って何のためにあるんだろうとかいろいろな思いが湧き立った展示でした。

 

② 南 桂子 銅版画展-静かな王国@ミュゼ浜口陽三

ミュゼ浜口陽三はいつ行っても素晴らしいのですが、本展は映画「君たちはどう生きるか」の直後ぐらいに行って、南桂子の世界観(?)が「君たち~」の世界観と意外とリンクしていて驚きました。美しきあちら側の世界、王国。村上春樹の小説にも通じる世界。大好きです。

③光へ漕ぐ舟@ミュゼ浜口陽三

同じ美術館の展示が続いて恐縮ですが、本展は特にオブジェ(桑原 弘明、前田昌良)との組み合わせが本当に素晴らしかったです。そして、本展も私にとって「美しきあちら側の世界」を描いたものであり大満足でした。

↓前田 昌良さんの作品。この作品、実際に動かせるのですが、その動きがまた繊細でいいのです。

桑原 弘明さんのミニチュアスコープは、小さな小さな「驚異の部屋」。覗き込むと全く違う世界が広がり、また光の差し込む方向によって部屋の印象もドラマティックに変わる。素晴らしい作品、素晴らしい展示空間でした。

 

④やまと絵展@トーハク 

娘の国語の教科書で高畑勲の「鳥獣戯画を読む」という文章が載っていて、読んでみためちゃ面白い!

www.youtube.com

日本の絵巻物をアニメーション作家の視点から書いていて、日本の絵巻物って、視点の動き、場面の展開から見るとかなり面白いことをやっているなと思いました。

もっと深堀りしたくて読んだ「十二世紀のアニメーション」の「信貴山縁起絵巻」「伴大納言絵詞」「鳥獣人物戯画」の解説がまた面白く、やはり現物を見たくなり、本展に足を運びました。

もうどれもこれも教科書に出てくる作品ばかりで豪華だし面白いし。大満足の展覧会でした。

関係ないですが、高畑さんの本を読んでから本展に行ったせいか、絵巻物などに出てくる群衆の場面(特に登場人物の顔が全部生き生きと描かれている名作系の絵巻物)が、ジブリっぽく見えて仕方ないというw 

ジブリ映画って群衆のシーン、けっこう多いですよね。

 

いろいろな意味で面白い展覧会でした。

yamatoe2023.jp

 

高畑勲って日本美術だけでなく西洋絵画にも造詣が深く驚きました。本展鑑賞後に読んだ以下2冊もかなりかなり面白く、もっと早くに読んでいればよかったなあと思いました。

→これを連載していたジブリのフリーペーパー「熱風」もすごい!

長くなってきたので、続きは別エントリで。