美術部部室の中の人のブログ

アート好きな40代の女のブログです ※このブログに掲載されている写真・画像・イラストを無断で使用することを禁じます。

春の水、春の風

今年も買いました鶴屋吉信の「春の水」と「春の風」。

去年の今ごろ、このお菓子を手土産に先輩の研究室に遊びに行ったなあ。

元気かな、先輩。

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春の風。チューリップがびゅうっと風にたなびく様子をほんとよく描いているなあと。毎年感心してしまう。

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毎年、微妙に意匠が違う気がします。それもちょっとした楽しみだったりします。

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4/15まで。鶴屋吉信で買えます。

南薫造展@東京ステーションギャラリー

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南薫造展@東京ステーションギャラリーに行ってきました。

www.ejrcf.or.jp

東京ステーションギャラリーって、私にとって知らない作家の展覧会が多くて、最初ハードルが高いのですが、行ってみると満足度の高い展覧会が多いんですよね。

ほぼ毎回新鮮な鑑賞体験をさせてくれる稀有な美術館です。なので、この美術館で開催される展覧会は、知らない作家の展覧会でも、できるだけ足を運ぶことにしています。

 

さて、今回の展覧会は、南薫造。

今回も(失礼ながら)知らない作家…でしたが、ええ、とてもよかったです◎

 

南氏の水彩画はかなり彩度が低くてパッと見での華やかさはないのですが、その彩度の低さが独特の湿気を感じさせる描き方なんですよね。じっと見ていると、湿度越し?の色の美しさを感じられる。

「ああこの空気感、気持ちいい」

と思わせる。

絶妙な色使いがたまらない。

これは日本人ならではの湿度と色彩の感覚かもしれません。

肖像画も美しく優しくとてもいいし、風景画もいいなあとを見進めていくと(ここまでの作品で、既にかなり気持ちよくなってしまって、大満足だったのですが)、版画のコーナが。

自分としては、この版画がちょっとびっくりな作品でした。

え?何この版画、すごい。

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『畑を打つ』(1911)町田市立国際版画美術館寄託 木版

 版画としては、輪郭線も刷りも色味も薄くて、ちょっと粗な印象があるのですが、見ていると、かなり鮮明にこの場面が見えてくるような気がしたのです。例えば、鍬?を持っている人物の影を見ると、この場所の日差しの強さが感じられるし、手前側の畑や人物あたりが写真のように鮮明に頭の中に浮かぶ。

全体的には粗な画のはずなのに…頭の中に浮かぶイメージがやたら鮮明なのです。

見たこともないのに。

この不思議体験を一番顕著にさせてもらえるのが、この版画シリーズだと思うのですが、この版画が展示してあるフロアの作品でも同じような体験が。

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《高原の村の朝》1941年、ひろしま美術館

キャベツ畑…。ええ、キャベツ畑の絵なんですよw

割と太めの筆で、どしどしっと描いたキャベツ畑。割と濃いめの色の作品で、最初見たときは、あんまりいいと思わなかったんですが、帰宅して2-3日した頃からか、このキャベツ畑の印象がずっと頭の中に残らないことに気が付きました。

「ジワジワ来る」ってこういうこと??

この絵も地味な題材だし、太めの筆で粗っぽく?描かれているのに、このキャベツ畑の風景がやたら鮮明に頭の中に浮かぶのです。

どうでもいいけど、画面右の子どもと比べると、このキャベツがいかに大きいか分かるし、その巨大キャベツの外側の葉っぱの青々とした感じもやたら鮮明に見えてきます。

 

もちろん、この作品のほかにも作品多数。かなり地味めの色の作品が多いのですが、見てるとその後ろにある(自分の過去の記憶にもある?)、鮮やかな日本の風景がまるで写真のように頭に浮かぶという。。なんともいえない不思議で新鮮な鑑賞体験をさせてもらいました。よかったなあ。

 

で、改めてこの展覧会のキャッチコピーを見ると

「ニッポンの印象派

ああ、まさしく!

 

これは日本人による日本人のための?印象派だなあと。

こんな作家、滅多にいません。

 

展覧会は2021/4/11迄。ぜひぜひ。

 

***

とここまで書いてふと思ったこと。

いわゆる欧州の印象派作品のこと。

私も印象派の作品は大好きなのですが、南氏の作品の鑑賞体験を経て思ったのは、欧州の人たちが「印象派」の作品で見えているものと、私たち日本人が「印象派」の作品で見えているものとは、けっこうな解離があるんじゃないかな、ってこと。

作品の舞台になった、様々な風景を自身の経験として持っている人たちと、そうでない人(私)とでは、あの印象派の抽象化された画素の中で見えてるものが違う…

当たり前といえば当たり前ですが、そんなことを改めて感じました。

***

 

さて、ステーションギャラリーでよき作品と出会ったあとは、ティータイム。例によってトラヤトウキョウ@ステーションホテルでお茶をしてきました。

大好きなフィリップワイズベッカーさんの絵が見える席で。f:id:meg0122:20210401123906j:plain

 

 とらや謹製じょうよ饅頭とコーヒ。とっても美味しかった。

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私が行った16時~17時ぐらい。いまは席数を少なくしているので、8割がた席が埋まっている感じでした。行かれるのであれば予約するのが安全かも。

おすすめです。

春の夢

今朝食べた美味しいもの。

とらやの「春の夢」。ほぼ毎年買っている気がします。

ほんわかした意匠も好きだし、何といってもこの味。

もっちりとした薯蕷、中身は珍しい白小豆の白あんで、すっごく美味しい(今年は特に美味しい気がします。気のせいかもだけど)

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「春の夢」という名前も素敵…胡蝶の夢ですかね。

毎年、買うたびにどう撮ろうかと考えて、今年は2羽並べてみました。うん、なかなかいい(自画自賛)。

 

夢と言えば。ちょい前ですが、

今年の雛祭りの日。黒澤明の「夢」という映画に出てきた、実物大の雛壇(人形は人間が演じています)のことを思い出し、アマプラで見ました。もう何年ぶりだろう?雛壇のエピソード以外、あんまり実は覚えてなかったんですが、覚えてなかった分、すごく新鮮。よかったなあ。

実物大の雛壇は、8つのエピソードのうち、2.桃畑のエピソードに登場するのですが、その他のエピソードもとても面白かった!4.トンネルとかも「絵」としても最高だし。ストーリーももちろん◎

1 日照り雨
2 桃畑
3 雪あらし
4 トンネル
5 鴉
6 赤冨士
7 鬼哭
8 水車のある村

黒澤明って、(基本的にあんまり好きな監督ではないんですが)絵を描く人だったから、映画の構図が絵画的ですごく面白いんですよね。

画集も出していて、「夢」を見た後、この作品集で改めて「夢」のスケッチも見てみました。単なるイメージスケッチとかコンテとかの域を超えおり、かなり見応えあり。絵単体でも面白いし、映画の実際の場面と比べるとさらに面白いと思います。

でも、黒澤明のすごいところは、映画としてみたときの方が、圧倒的に絵画的な面白さを味わえることだと思います(当たり前か)。

4.トンネルとかも、映画の方が絵画的なんですよ。。これはぜひ絵の方と比べて見てみてほしいです。

ちなみに、トンネルに出てくる兵士の顔の色、私は青とか緑っぽく見えたんですが、娘は白に見えると言ってました。この微妙な色味も面白さの一つだと思います。

ちなみに、私が黒澤映画で一番「絵画的な面白さ」を感じた作品は、「白痴」です。

原作の雰囲気もすごくよく出ているし、ストーリーも傑作だと思います。ご覧になってなかったらぜひ。

 

「夢」に話を戻して、黒澤の「夢」を見ながら、たぶん黒澤がやりたかったのは漱石の「夢十夜」みたいないなことかなと想像しました。

ほんとに見た夢。オチもなくただ不思議で面白く、美しい。ただし劇場公開するので、観客が見て面白い、美しいと思わせる演出は必要で、黒澤によるこの「着地点」はほんと素晴らしいなと思いました。

ちなみに、漱石夢十夜は豪華監督陣により映画化されていますが、未見なので、近いうちに見てみます。

 

 

夢十夜kindleでも読めます。

あと、近藤ようこさんのマンガも素晴らしいです。ぜひ!

 

今日は、夢について、ああでもなくこうでもなくダラダラ書いて終わりにしたいと思います。

沈潜と蒸留 浜口陽三 濱田祐史 二人展@ミュゼ浜口陽三

沈潜と蒸留 浜口陽三 濱田祐史 二人@ミュゼ浜口陽三

に行ってきました。

 

ミュゼ浜口陽三、小さい美術館ですが、ほんっとに大好きなんですよね。

浜口陽三さんの作品単体でも間違いなく面白いし、今回のようなコラボも面白い。

今回の2人展のペア、濱田祐史さん、失礼ながら名前を存じ上げなくて、でもチラシに載っていた作品がとっても美しいので足を運んでみたら、これがもう大当たりでした。

※実はこの方の作品は、以前に東京都写真美術館で拝見していました。その話は後半で触れます。

www.yamasa.com

 

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浜口さんの作品は撮影NGでしたが、濱田さんの作品は撮影OKでしたので撮影してきました。

濱田さんの作品、こんな感じ。カラートンを重ねたような作品。美しい…。

 

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これ、どうやって作ってるの?と思いつつ、このルービックキューブの作品を見て、「おおおお、これは???」と

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濱田さんがこれらの作品を作るのに使っている手法が、デジタルポラロイドトランスファーという手法で、ポラロイドにプリントした写真を特殊な液に漬けて、色ごとの膜を剥離させて、それを水彩用の画用紙に貼り付けるというもの。

展覧会では、手法を分かりやすく展示するコーナもありました。めっちゃ繊細な作業…

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ポラの独特の色合いが、分離されることでまた面白くなって。

これなんかもよかったなー。

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ああ、なるほど、これって版画の逆をやってるんだな、と。それを浜口陽三の版画と一緒に展示している。

うわ、面白い~!!

と思いつつ、このデジタルポラロイドトランスファーの手法を知ると「いや、そもそも写真自体がいくつかの原色を重ねた印刷=版画なんだよな」と思ったり。

 

濱田さんの作品も美しいし、面白いし。

版画とは、写真とはといろいろ考えさせるキュレーションのセンスにもしびれました。

で、展覧会を見た後、濱田さんのことをいろいろ調べてみたのですが、実は写真美術館で作品を拝見しておりました。

今回の展示とはまったく違った雰囲気の作品だったので、「まさかあのときのあの作家だったとは!!」とびっくりした次第。

↓ブログ記事。

meg0122.hatenablog.com

写真美術館で見た濱田さんの作品。

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※ほんとアルミホイルで作った作品だと思えない。。んですが、そういわれるとそうとしか見えない!

 

こんな作品を作ったり、写真をRGBに分解したり。ほんと、写真家として、現代美術作家として、かなり面白い方だと思いました。

また作品を拝見したいな。。

沈潜と蒸留 浜口陽三は2021年4月4日まで。

3月12日(金)にはトークショウもあるようです。

 

おまけ。

ミュゼ浜口陽三のある水天宮あたりは、ほんと美味しいお店がたくさんあるんですよね。いろいろ買って帰りたくなりましたが、とりあえず夕食用に今半ですきやきコロッケを買って帰りました。美味しかったーーー。 

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とらや「東雲」

ひさしぶりにとらやで生菓子を買ってみました。「東雲(しののめ)」。

夜明け一歩手前の東の空の雲。紫と白の染分は、残る夜と明けゆく朝を表したものとか。

このブログでも何度か書いていますが、とらやの意匠は昔のものの方が前衛的だと思います。やってる事が抽象画だし、印象派だし。特にこのお菓子の意匠のすごいところは、紫と白が(上下ではなく)左右に配置されていること。

昔のとらやの職人さんは地動説も理解していたのではないかとすら思わせる意匠。

元禄8年(1695)。はー、すごい。

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東雲は、つくね芋と白餡製。つくね芋が入ったきんとんはとても珍しく、私も初めて食べました。食べてみると、あのとらやのお菓子に使われている薯蕷の味が!美味しかったー。このお菓子は、毎年この季節に赤坂店でだけ販売されていて、販売最終日、滑り込みで買ってきました。買えてよかったー。

 

実は、ここ何日間か、父が亡くなったり、もっといろんな話をしたいと思っていた人に会えなくなってしまって、自分としても「新たな局面だなあ」と思うことが多く、このお菓子の意匠は、今の自分の気持ちにピッタリというか。ぜひ入手したいと思って赤坂のとらやまで行ってきました。

満足。

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そうそう、赤坂とらやのロビーには、雛人形が飾ってありました。立ち姿のお雛さまって珍しくないですか?これは黒川家(とらやの経営者)の持ち物なのかな。凛とした立ち姿がとてもいいなと思いました。

 

店内には雛祭りにちなんだお菓子のご案内が出ていて、ああもうすぐ春だなあと思いながら帰宅しました。

2020年のベスト展覧会 その2

後半6~10について書いていきます。

※長くですみません。もう少しお付き合いください。

 

6.河鍋暁斎展@東京ステーションギャラリー 

www.ejrcf.or.jp

meg0122.hatenablog.com

これもコロナ渦ならではの展示だったように思います。本来であればハリーポッター展が開催されるはずのところ、開催できなくなり、急ごしらえで準備したと聞きましたが…結果、めっちゃ見ごたえのある展覧会でした!河鍋暁斎、下絵だけで(いや、下絵だからこそ)ここまで楽しめるってどんだけすごいのか。改めて河鍋暁斎のファンになってしまった展覧会でした。

 

7.MANGA都市TOKYO展@国立新美術館

すみません。これもレビューが書けてないんですが。面白かったなー。豊富すぎる日本のマンガやアニメのコンテンツをどう紹介するのか、と考えたときに「トウキョウ」という都市の風景を切り口にしたら、ちゃんと「アート」としての展覧会というか、文化や社会学、都市学、建築学が見えてきて。観る面白さに加え「読む面白さ」もあふれていた展覧会でした。自分自身、東京生まれ東京育ちですから、自分の過去の経験なども重なって、既に知っていたアニメやマンガもまた違った解釈ができたのも◎でした。

例えば、「ゴジラ」や「はいからさんが通る」も、東京という都市や都市の災害が結構重要なファクタになっていて、なるほどと。特に「はいからさん~」は、フェミニズムだったり女性の成長物語としてしか見ていなかったけれど、東京という都市の歴史(ラストは関東大震災!あの燃え盛る東京での紅緒と少尉!)としてもかなり印象深い作品ですからね。

この展覧会で知った作品もたくさんあって、特に展覧会の直後に見た原監督のアニメ「百日紅」や、大友監督の「火要鎮」、押井監督の「人狼」は、作品自体もすっばらしかったのに加え、展覧会で見た都市の文脈が加わるとかなり味わい深い作品でした。

※本展の展示作品リストは私の宝物です★★manga-toshi-tokyo.jp

 

8.古典×現代 2020@国立新美術館

これもすごくよかったなあ。特に円空と棚田さんの彫刻とのコラボ空間は忘れがたいです。人間の目に見えないものを、人形(ひとがた)を通してその視線の向こうにあるものとして描く。鑑賞しながら、円空と棚田さんの作品、2つの異なる作家の作品の視線の向こうにある世界が不思議に共存するのを感じる。稀有な体験をさせてもらった展覧会でした。

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9.大阪万博展@T-ART HALL

 これも忘れ難い展覧会でした。個人的に印象的だったのはやはり万博の映像と、西野達さんの作品。あの万博の映像はほんとすごかったな~。当時の万博の熱狂が焼き付けられていました。私は万博のパビリオンなどのデザインが好きで、都築さんの本で見たりしていたけれど、ああ、これが万博の熱狂かと。「すごいな」と感動すると同時に、「今後これほどの熱狂をもたらすイベントってできるの?」と、なんとも言えない気持ちになったのも確か。2025年に大阪万博が開催されますけど、もうここまでの熱狂はありえないんだなと。だとすれば、万博はどのあたりを落とし所にして成功に導くか。。たいへん面白い展覧会でしたが、ネットの普及で新たなテクノロジーが「現物なし」で伝えられる、今、万博をやる意味ってなんだんだろうと改めて考えさせられた展覧会でした。

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10.至近距離の宇宙展@東京都写真美術館

中野正貴写真展「東京」@東京都写真美術館

今回、ベストを選ぶために、自分のカメラロールを一年分ざーっと見直してみたのですが、写真を見て見たときの一番印象が蘇った展覧会が本展でした。どの作品もおもしろかったー。東京都写真美術館のキュレーションの凄さを実感した展覧会でした。

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また同時開催されていた中野正貴展も、バブル以降の東京の歴史を焼き付けた写真群がかなり面白く、東京育ちの自分は思わず興奮。いやー、お台場って工事中、ほんっとに何もなかったんだなーとか、この建物、もうなくなっちゃったんだなーとか。自分も個人の思い出と重ねて都市の歴史を味わう年齢になったのかと、しみじみしました。

それと、本展に展示されていた「誰もいない銀座の写真」なども、今思うと、その後のコロナ渦の東京の風景を予見しているような作品でしたし。これは2020年印象的だった展覧会には絶対入れたいなと思って、10に追加しました。

 

2020年の展覧会の振り返り。コロナ渦があったので、美術館に行けない期間もありつつ、ほんとよく見たなと思います。また、コロナ渦のおかげと言っては何ですが、振り返ったときの展覧会の印象がより複雑さと深みを増している気がしました。なので、個人的には、例年以上に展覧会の振り返りが面白く、自分としては精神的豊作感のある一年でした(美術館はほんと大変だと思いますが。。)

 

2021年も面白い展覧会がたくさん開催されます。

まずは健康に気をつけつつ、できる範囲で美術展に足を運びたいと思います。

 

2020年のベスト展覧会 その1

2021年がスタートしました。東京では感染者が1000人を超え、東京都近郊限定ですが再度緊急事態宣言が出ました。美術館にも行きにくい状況ではありますが、今年も「美術を楽しむ」一年にしたいと思います。よろしくお願いします。

 

2020年、振り返ると緊急事態宣言からの美術館の一時閉館等、いろいろなことがありつつも、たくさんの素晴らしい展覧会に足を運ぶことができました。そして、改めて美術館で美術を楽しむことの豊かさ、ぜいたくさも実感し、「美術館をあけてくれるありがたさ」を実感した一年でした。

 

事前予約制が導入され、美術館の収益もなかなか厳しいなか、美術展を開催してくださるだけでもありがたい。。感謝感謝です。

 

さて、2020年のベスト展覧会ですが、こんな感じ。

※順不同です。

 

1.安野モヨコ展@世田谷文学館

2.桃山展@東京国立博物館

3.ピーター・ドイグ展@国立近代美術館

4.石岡瑛子展@東京都現代美術館

5.式場隆三郎展@練馬区立美術館

 

1.安野モヨコ展は、90年代を駆け抜けた女性ならみんな沁みた展覧会だと思います。90年代0年代の振り返り的なイベントも見かけるようですが、安野さんといういちマンガ家が描いた作品を展示する、安野さん個人をフィーチャーすることで、実はどんなイベント、展示よりも、濃く90年代0年代にあった「私たちの心」が表現されている気がしました。順不同と書きましたが、この展覧会は間違いなく、2020年の私の1位です。

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2.桃山展は、空前絶後過ぎました。ひとつひとつ豪華豪華でありつつも、文化庁の肝いりのイベントゆえ、キュレーションがしっかりして、見ごたえありました(見ごたえありすぎでへとへとになりましたが)。ここまで国宝、重文を登場させた展覧会はこれから数年ぐらいもう見られないのではないかと。

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あと、展覧会の入場料が2400円というのもかなり画期的でした。展覧会の入場料の上蓋を外してしまったと言っていた人がいたけれど、まさに。けど、個人的にはこの値段の3倍ぐらいのバリューを感じましたし、これを機に入場料も既成概念にとらわれず自由に決めてよいのではないかと思いました。多分、今までは展覧会を開催する側も~1200円という入場料を得て、後援や協賛を得ること前提で展覧会を組み立てていたと思うのですが、このコロナ渦で入場人数も絞られるし、収入的に厳しい部分もあるだろうから、もういろんな企画、価格設定があってもよいと思うのです。

また、今後コロナ渦で海外から作品を運んで派手な展覧会をやるというのも難しくなることを考えると、国内作品、各美術館のコレクションでどう面白くしていくか、盛っていくのかというのは重要な課題だと思います。今回の展覧会は、展示そのものも素晴らしかったけれど、今後の示唆をいろいろと感じさせる展覧会だったと思います。 

 

3.ピーター・ドイグ展@国立近代美術館

これもよかったなあ。ピーター・ドイグ展。会期が、コロナ自粛期間挟むという、ある種、2020年を象徴する展覧会だった気がします。会期開始ごろに、横を通りかかって、ああ見ようかどうしようかと考えて、また今度・・と思ったら翌々日ぐらいに国立系の美術館がコロナで続々閉館になってしまいました(あの時の、何ともいえぬ緊張感あふれる雰囲気は忘れられません)。そして、自粛期間があけて各美術館再開のときに、割と真っ先に足を運んだ展覧会でした。展覧会の印象とともに、コロナ渦の空気感が焼き付けられた忘れられない展覧会でした。

meg0122.hatenablog.com

展示自体、2回見ましたけど、やはり1回目が一番面白く見られた気がします。自分の頭の中にある絵画のイメージがあぶりだされるような作品。今思うと、ドイグさんの絵の面白さあるのですが、ドイグさんの絵を通じて自分の中からあぶりだされる絵画のイメージとの出会いがまた新鮮だったように思います。

 

4.石岡瑛子展@東京都現代美術館

すみません。まだレビューが書けてない展覧会ですが、ほんっとに面白い展覧会でした。というか、私は子どものころから、石岡さんの風姿花伝とがある家で育ったので(うちの両親が石岡さんの同級生なので)、なんかもう子ども時代に見たり感じたりしたものと相まって、なんとも言えない感動がありました。

想像以上にオペラ作品の衣装が展示されていて、見ごたえがあったのも◎

後日、石岡さんの自伝を読んで、再度作品を堪能したくなりました。

たぶん、会期中にもう一度見に行くと思います。

www.mot-art-museum.jp

 

5.式場隆三郎展@練馬区立美術館

これも、レビューが書けてないのですが、自分としてはかなり深く心に刻まれた展覧会でした。実は式場隆三郎氏のことを全く存じ上げなかったのですが、本業(精神科医)の傍ら、ゴッホの紹介、山下清の作品を世に出す、民藝運動等を大量の仕事をした方。

個人的にはゴッホゴッホの複製展示→山下清→初期の草間彌生の流れがめちゃ面白くて。これらの作家は当初こんなかたちで日本に入ってきたんだと。

いまのイメージが形成される前のイメージが紹介されてるのですが(当時のゴッホの複製画や山下清の紹介記事)、それらがいま自分の持つこれらの作家のイメージの共通する補助線となって、式場先生的?文脈がふわっと立ち上がるという稀有な体験をさせてもらいました。キーワードは「精神医学」。

アールブリュットとは何か、アートの王道?とは何かといろいろ考えさせられました。

www.artagenda.jp

 

あとやっぱり、精神科医とアートと言うと高橋龍太郎氏を連想しました。式場隆三郎氏が紹介した作家に初期の草間彌生さんがいたこともあるし(高橋コレクションの出発は草間彌生さんと会田誠さんの作品購入)。精神科の病理とアート。この辺りは高橋龍太郎先生に聞いてみたいところだな・・と思いつつ、深掘りするには情報が少なかったのもちょい残念(美術館に図録も無かった・・・)。

余談ですが式場氏が作った国府台病院は、島尾敏雄「死の棘」で妻ミホが入院するあの病院でして。展覧会では病院のバラ園の様子等も展示されてました。

あと個人的にツボだったのが式場氏と山下清が2人でクリームソーダを食べている写真。2人のパーソナリティ?が凄く良く出ていて凄く良い写真だと思いました。

実は、山下清氏の作品(現物)、今回の展覧会で初めて拝見しまして、なるほどこれは確かに面白いなと。切り絵が半立体的で、絵を少し動きながら見ると、2.5次元的な感じで脳内にインプットされて、2次元では味わえない面白さがあります。

(この半立体的な面白さ、ルートブリュックの作品にも通じるものがあると思いました)

 

後半6~10については、次のエントリで書きます。

 

6.河鍋暁斎展@東京ステーションギャラリー 

7.MANGA都市TOKYO展@国立新美術館

8.古典×現代 2020@国立新美術館

9.大阪万博展@T-ART HALL

10.至近距離の宇宙展@東京都写真美術館

中野正貴写真展「東京」@東京都写真美術館