美術部部室の中の人のブログ

アート好きな50代の女のブログです 

福田尚代 あわいのほとり 神奈川県立近代美術館 鎌倉別館

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SNSの口コミを頼りに、鎌倉まで足を伸ばしました。

福田尚代 あわいのほとり 神奈川県立近代美術館 鎌倉別館

よかったです。今年のベスト1です。

 

※本展、撮影不可だったので、美術手帖の記事を貼り付けておきます。

bijutsutecho.com

 

「漂着物/波打ち際」——光あふれる浜辺の幻
まず圧倒されたのが、消しゴムで作られた小さな彫刻の集積「漂着物」です。福田さんが鎌倉の会場に何度も足を運ぶうち、この場所の近くにある海——夢の中でリボン状に切り取ったような浜辺の情景を見たそうです——にインスパイアされて生まれた作品だそうです。
ショーケースを覗き込むと、そこには光に満ちた夏の浜辺が広がっていました。最初はただその物体の小ささと量に圧倒され…、でも、じっくりと目を凝らしていくうちに、小さな物語たちが見えてきました。強風にはためくビニールシート、風邪をひいた日の布団、桃の缶詰、蛍光灯からぶら下がるスイッチの紐、小さな手紙の束——おそらく福田さん自身の個人的な記憶から生まれたものたちが、波打ち際の漂着物のように空間を満たしていました。

トークショーで福田さんは展示ケース内を「本当はもっと暗くしようと思っていた」とおっしゃっていたのですが、あの明るさだったからこそ、見る人それぞれのいっぱいの日差しの中の夏の記憶が呼び覚まされるのだと感じました。
そして2回目に訪れてようやく気づいたこと——その浜辺には、お墓がいくつも置かれていました。美しい此岸と彼岸の境目。ああ、やはり…と確信しました。

 

「煙の骨」——名前入り色鉛筆の芯
反対側のショーケースには「煙の骨」。女性の名前が刻印された色鉛筆の芯の彫刻が、放射状に散らばるように配置されていました。それ自体がすでに美しいのですが、これがやはり焼き場に残るお骨なんですよね。いろとりどりのお骨。自分の経験も蘇りつつ、胸に来るものがありました。タイトルとはかくも雄弁に語るものかと。

 

「翼あるもの/岬」——60冊以上の文庫本が織りなす空間
そして圧巻だったのが「翼あるもの、岬より」。60冊を超える文庫本から、ただ一行のみを取り出して展示した作品です。
そのラインナップがまた好みで。かつて自分が読んだ本が何冊もありました。個人的にはアゴタ・クリストフの『悪童日記』から始まるところがまたよくて。それぞれの一行を読むたびに、あの物語のあのあたりかと思い出しつつ、一連の行の紡ぐ別の物語もまた進んでいく。これらの物語があの一行の「文字」のみでつながっているというのが摩訶不思議で。極限まで広がる複数の物語のイメージ同士があのほっそいフォントだけでつながっている状態とでもいいましょうか。すごかったですね。
また、文庫本の背表紙の色が後ろの壁にふんわりと反射し、あわい彩りの空間を醸し出していたのも忘れがたいです。

 

先にも書いたとおり、この展覧会は全館撮影禁止でした。ゆえに展覧会で見たものたちは鑑賞者それぞれが心の中にうつしとり、持ち帰るのみなのです。

 

思い返すと鑑賞者のみなさん、じっと展示物を集中して見ており、明らかにあの展示物を通して、向こう側あるいは自己の深い深いところまで至ってるようでした。

おそらくみなさん見ているもの感じているものは違うと思うのですが、見ている者同士、展示物を通して深い深いところまで至っている分、互いにつながっているような不思議な連帯感もありました。いやなんとも言えない不思議かつ感動的な鑑賞体験でした。

 

帰ってから、福田尚代さんの著書『あわいのほとりの一人』を手に取りました。

 

 

本のインタビューの中で、子どもの頃から積み木遊びに熱中していたというエピソードが語られていて、あの「漂着物」の浜辺に置かれたお墓が、一見してお墓とはわからない朴訥?とした佇まいだったのは、彼女が長年にわたり取り組んできた積み木という手業ゆえと推察しました。


本には作品に至るまでの個人的な経験も丁寧につづられていて、わたしの中で展示の記憶が補間され、より深く、より美しくなっていく感覚がありました。
あの消しゴムの彫刻たちが、鎌倉近代美術館というあの場所で、あのように波打ち際のように並んでいたこと——それはあの会場でしか起こり得なかった奇跡だったのだと、本を読んで改めて思いました。

まさに宝物のような体験。

 

展覧会、友だちにも勧めたところ、足を運んでくれて感想を互いに分かち合うことができました。

ほんとにあの展覧会で体験したものが深くあるぶん、他者との間で、あれらの作品をどんなふうに感じたか、そしてそれをどんなふうに反芻したか話したくなる気持ちにもなったのです。だから、いろいろなことを友人とLINEで話せて本当によかった。

素晴らしい友に感謝です。

 

そういえば。

美術館併設のカフェすっごく良かったです(ケーキ食べかけすみません)。

展覧会の余韻を味わうのに最高の環境でした。また行きたいな。

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聖なる鹿殺し

ご無沙汰しております。
おかげさまで、元気に生きております!

久々のブログ更新。何を書こうかなと考えていたのですが、先日観たヨルゴス・ランティモス監督の『聖なる鹿殺し』があまりに面白かったので、その感想を記しておこうと思います。

 

すっかり「ランティモス・ファン」に
もともと、同じ監督の『哀れなるものたち』がめちゃくちゃ面白くて。

友人から紹介された原作も読みましたが、独特過ぎる世界観をまた独特の世界観で切り取り映像化してる。映像はもちろんのこと、衣装、テーマ、すべてが最高。

この作品から遡って『女王陛下のお気に入り』も鑑賞し、すっかりランティモス監督のファンになってしまいました。

哀れなるものたち、原作がまた映画以上にすごい作品なので、ぜひぜひ読んでみてください。映画観た人はひっくり返ると思います。

 

そうして辿り着いたのが、今回の『聖なる鹿殺し』です。
正直、前半は独特の間や雰囲気が掴みきれず、物語に入り込めない部分もあったのですが、不穏な空気が加速していくし、バリーコーガンの(目の辺りの筋肉が動かない!)異常さは爆発していくし目が離せない展開に。

あ、それと。事態の異常さを描く上でニコールキッドマンの知的さ美しさも大きく貢献していたと思います。

 

キューブリックへの愛と映像美
個人的にたまらなかったのは、スタンリー・キューブリック監督の『シャイニング』への強いリスペクトを感じる映像美です。

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  • ジャック・ニコルソン
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あの冷徹なカメラワーク(低い!)、シンメトリーの構図。キューブリック作品が大好きな私にはたまらなかったです。

 

ギリシャ悲劇から『遠野物語』へ
この映画は、古代ギリシャの劇作家エウリピデスによる悲劇『アウリスのイピゲネイア』がモチーフになっていることで知られています。鑑賞後、そのギリシャ悲劇も確かにありかと思ったのですが何だかピンとこない、いやむしろもっと理不尽な…と思い、思い浮かんだのが『遠野物語』でした。

 

「神話的な法による因果応報」というよりも、「とにかく理不尽で、不可解な不条理」。そちらの方が、この映画の質感に近い気がしたのです。

 

「救いのなさ」が持つ役割
以前、読書会をきっかけに『遠野物語』を読んだのですが、あれは本当に不条理な話の宝庫なんですよね。短い話の中に、驚くほど暴力的な展開や、救いのない結末が淡々と記されている。

 

伊集院光さんが『100分で名著』でこの本を解説されていた際に仰っていたことが、ずっと心に残っています。

↓伊集院光さんが100分で、名著で取り上げた三つの作品を名著で取り上げた三つの作品をゲストとともに再度深堀りする以下の本、かなりかなり面白いです。


「人間、長く生きていると、本当にどうしようもない理不尽や嫌なことに遭遇する。そういう事象に無理やり折り合いをつけ、やり過ごすために、こうした民間伝承の物語が必要だったのではないか」と。

『聖なる鹿殺し』のラストも、まさにそうです。
大切な家族を自らの手で生贄に捧げなければならない。究極の不条理であり、全く救いはありません。でもその「救いようのなさ」に「人生にはどうしようもないことがある」という救いがあると。

 

物語が持つ普遍性
ギリシャ悲劇をモチーフにしながらも、ランティモス監督の独自の切り口が、遠く離れた日本の『遠野物語』にも通じる…物語が持つ力、普遍性のようなものを感じてしまいました。また、不条理を不条理のまま描く。その潔さが、私にはとても心地よく、そして「救い」に満ちたものに思えたのです。

 

ランティモス監督。今度の新作もかなりかなり面白そうで楽しみにしています。

gaga.ne.jp

 

「須田悦弘」展@松濤美術館

須田悦弘」展@松濤美術館。これももう終わってしまいましたが記録用に書いておきます。

もう…ひたすらに美しかったです。

shoto-museum.jp

 

須田さんの「ほんものそっくり」な植物たちは、単体では見たことがあるもののこれだけまとまった量を見るのは初めて。今回の展覧会は美しき白井晟一建築との共生がほんとに素晴らしくて、どの作品もため息。この美術館、たいていの展覧会は遮光した状態で行われるのですが、今回は中庭からの光が入る状態で展示されていて、白井晟一の建築も楽しみつつ、そこに共生する須田作品を愛でられるという、これ以上ない贅沢な空間となっていました。

 

 

今回の展覧会、「須田作品が自然に見えるように」照明もかなり調整されていたとのこと。確かに、どの作品を撮影しても本当に美しくて(どの角度から撮影しても絵になってしまう)、iPhone越しにもため息。

 

気に入った作品をどんどん貼り付けていきます。

これは薔薇。(私は知らなかったのですが)散っていく花びらが増えていくという趣向。

デザイン画の段階ですでに完成されている美しさがあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

須田氏の仕事で一番驚いたのは、ニッカのシードルのボトルデザイン。

えええ、須田氏の絵だったの?驚きました。

素晴らしすぎる展示に溜息。。

私が展覧会に足を運んだのは会期後半で図録完売。買いたかったなあ図録。

残念だったけど図録完売も納得の展示でした。

今年のベストには絶対入りそうな展覧会でした。

足底腱膜炎だったけど、朝のウォーキングができるぐらいに復活したって話

今日は、健康の話。

昨年の秋ぐらいから足底腱膜炎が再発しまして、しばらく朝のウォーキングを休んでいたのですが、いろいろ試した結果、フォームソティックスでがんがん歩けるようになったので、メモ的に書きとめておきます。

 

formthotics.jp

足底腱膜炎、2年ぐらい前にもやってるんですよね。

外科で見てもらったけど、基本安静にして、ストレッチして動きをよくしてねーぐらいしか言われないし、安静にしててもそんなに良くならない。

更年期の影響もあると思うのでこれは長期戦だなと思いました。

 

私のピラティスのパーソナルトレーナーに相談したところ、靴の中敷きを作って動きを改善するフォームソティックスを勧められ、フォームソティックスを扱っている整体を予約↓

sunri-gr.jp

整体院で

私の歩き方をチェックしてもらったところ、やはり足の重心位置のずれがあると。あと、自分が履いているスニーカーを持っていて、足の動き的によいかも見てもらったのですが、どうも合わなかった様子…↓

[アシックス] スニーカー CLASSIC CT ホワイト/ミッドナイト 4 23.5 cm 2E

で、最近履き始めたこちらを見てもらったところ、これなら私の足に合っているようでこのスニーカーに合わせて中敷きを作ってもらうことにしました。

[アシックス] スニーカー JAPAN S

 

整体院に中敷を作る装置があってその場で中敷を作ってもらい(10分ぐらいでできる)、そのまま履いて帰宅。

履き始めて4か月ほどですが、とてもいいです。

足裏をしっかりサポートしてくれているせいか長時間歩いても大丈夫。

3月後半から朝の50分ウォーキングを復活させたのですが、いい感じで歩けています。

というか歩いていること自体が気持ちいい。ほんと嬉しいです。

※朝のウォーキングを復活させた経緯はこちらのブログに。

※アシックスのスニーカーとフォームソティックスは間違いなく昨年のベストバイです!

 

朝のウォーキングほんとにいいですよ.

・朝の光を浴びながらの有酸素運動でセロトニンの分泌を促進させる

・自律神経を整える

・夜しっかりメラトニンが出るようになるのでぐっすり眠れる

・ストレスによる扁桃体の過活動を抑える(ストレス軽減)

 

特に頭使う系の仕事してて、ストレスたまりがちな方に全力でおすすめしたいです。

できれば以下を遵守すると効果絶大だと思います(私がカウンセラーさんから教えてもらった方法です)

 

・いつもより10㎝ほど歩幅を大きくして歩く

・1秒間に2歩のペース(かなり速いです)

・週に4日以上やる(できれば毎日)

・朝5時半ぐらいから歩く(朝日を浴びて16時間後にメラトニンが出るので21時半ぐらいにメラトニンが出て早めに深く眠れるように)

・50分継続して歩く(横断歩道で立ち止まるのも避ける。そのために横断歩道があったら迂回できる等の経路設定が大事)

 

40分を過ぎたあたりからセロトニンが出るようになるので、ほんとは40分ぐらいでもよいそうなのですが、少し余裕をもって50分とのこと。

セロトニンの分泌は5時間ぐらい継続するので、ウォーキングやったら午前中ぐらいは幸せな気分だし、仕事や勉強もはかどるというイメージです。

 

特に今(5月)ぐらいは暑くもなく寒くもなくほんとに気持ちいいです。できるだけ今の時期のウォーキングを楽しみたいです。

長時間歩けるようになったので、美術館等へのお出かけも苦にならず、また疲れにくくなったのもうれしい効果です。

これから暑くなりそうですが、できるだけウォーキングを続けたいと思います。

2026年5月17日追記

去年末、フォームソティックスの人に勧められて、アシックスのスニーカー 足のかかと周りをもっとしっかりホールドするタイプに乗り換えました。

アシックス のGT2000 14のwide。

もう最高です!

昨年のベストバイのひとつです。

https://www.asics.com/jp/ja-jp/gt-2000-14/p/1012B843-403.html

 

ビアズリー展@三菱一号館美術館

お久しぶりです。ブログ更新滞っていますが、ちゃんと生きています。

先日、三菱一号館美術館で見たビアズリー展がかなり面白かったので、ブログに書きとめておきます。

mimt.jp

バクチクの櫻井敦司さんがビアズリー大好きだったこともあり、絶対に見ようと思っていて、かなり前からチケットも入手。

山田五郎さんのYouTubeで予習もして、展覧会へ。

↓五郎さんのビアズリー解説かなり面白かったです。おすすめ。

youtu.be

ビアズリー展、良かったです!ほんと期待以上。大満足。

日曜で混雑してるかなーと思いましたが、あさイチで行ったらほぼ貸し切りで鑑賞することができました。

※どの作品も小さいので、できるだけ混雑していない時間帯に見るのをおすすめします。

ビアズリーって何となく「怖い絵を描く人」ぐらいのイメージしかなかったのですが、五郎さんの解説で「とにかく画面構成が天才的に上手い人」と知り、実際展覧会で作品群を見て、これはすごいわと。

特にサロメの頃とかイエローブックの頃の画面構成が神がかり的な凄さ。mimt.jp

画面構成も素晴らしいのですが、ビアズリーって「邪悪な顔」の描き方が天才的に上手いんですよね。なんでこんなに邪悪な顔が描けるのかって。

ビアズリーの黄金期、絶対に何かが憑依していたとしか思えない、その才能が短期間かつ一気に頂点を迎え、その後、歯車が噛み合わなくなる様に下降を辿る。(そして若くして死ぬ)

白黒の圧倒的な構成力。このままいけば行けばいいのに、なぜか緻密な方向に行くんですよ。

才能と、自身の志向と、時代の空気と。

それらが奇跡的にマッチした瞬間と、位相がずれていく瞬間。その両方を感じられて、さすがV&Aが企画した展覧会だなと思いました。

↓フォトスポット。このデザインも最高。

楠本まき先生の本の装丁を思い出しました。

 

ちょうどこの展覧会を見た翌日、安野たかひろさんとおじいちゃん水彩画先生柴崎さんとの対談YouTubeを見たのですが、これがかなり興味深い内容でした(コメ欄が荒れたため現在は削除。くー、残念)。生成AIが描いた水彩画について柴崎さんがレビュー。画像系の生成AIはテクスチャーとかは真似できてもまだ「構成」はできないと。

ああ、なるほどなあと。

絵の何を見て私たちは面白いと思うのか。その要素は多くあると思いますが、「構成」って結構大事な部分だと思うんですよね。かつ、複雑。言語化が難しい。確かに生成AIによる学習は難しいだろうなと。

そういう話を聞くと、今回のビアズリー展のような「構成の面白さ」を堪能できる展覧会に足を運ぶことは意味深いし意義深い。ああ、人間が人間による活動を堪能しているなと思います。

↓五郎さんがビアズリーは縦の構成が上手いって言ってたけど、ほんとそう。これも最高

**

展覧会の帰り。以前から行きたかったパレスホテルのラウンジへ。

1階のラウンジが満席だったので、6階を案内されたのですが、すっばらしかったです。こんな眺めがいい場所だったとは…!都内随一のパワースポットと言われるのも納得。

 

www.palacehoteltokyo.com

しかも、ほぼ貸し切り。コーヒーはホテル価格(2000円)ですが、お代わり自由だし美味しいし。大満足。

※すぐそばのスタバと迷ったのですが、こちらに来て正解でした。

パレスホテルといえば、デリのクッキー缶も有名。

次回はクッキー缶も買いたいな。。

www.palacehoteltokyo.com

 

 

 

 

 

ロボットドリームズ。すごく良かったよー

ロボットドリームズ、すごく良かったよー

klockworx-v.com

 

映画やドラマを見るときに参考にしてる人っていますか?

私はいます。Xでフォローしてる片岡Kさん。あんまりアニメを見ない片岡Kさんがロボットドリームズというアニメ映画をおすすめしていたので、見てみました。

 

いやー、すっごく良かったですよ。

80年代の描き方もクールでよかったし(懐かしくなりがちなんだけどちゃんと今風に洗練されている)。ロボットとの関係がほぼ台詞なしでディティールとか演出で見せるんですよね。その分、演出がほんとに細やかで、実は2回見たんですが、2回目の方が沁みました。大人による大人のための映画だけど、ちゃんと子供にも受けるピュアさがあるというか。

映像面でも、ちょっとOKGOや教育テレビで見るような演出もありつつ、ちゃんと大人が見てハッとする美しさとセンスがあります。

2回目は娘を連れて行ったのですが、娘も「面白かった」と太鼓判。

昨年のアカデミー賞の長編アニメ部門にノミネートされた作品というのも納得(昨年は「君たちはどう生きるか」がとりましたけどね)。

 

ちなみに、私がみたときは大人が殆ど。そしてかなりの大人が涙。わかる。。

まだ劇場で上映されているようなので、劇場で見られる方はぜひ!

 

娘と2人で「ロボットドリームズ」を見た後で、新宿のベルグでランチ。やっぱりホットドッグを食べたくなるよね…。ベルグ久々だったけど美味しかったー。

また行こうっと!

 

しかし、最近思うのは映画館で映画を見る時間って結構大事だなってこと。

もう今の時代、ついついスマホを見てしまうんですよ。自宅で配信で映画見てても、途中で休憩入れてついスマホみちゃったり。

一方、映画館だと基本スマホはオフだから、すっぽりと映画の世界に没入できる。今や映画館に行く意義ってそこなんじゃないかなと思います。スマホなしでエンタメの世界の没入するために映画館に行く。

そしてできれば(個人的には)一人で行きたいなと思います。

娘と2人で行くのもいいんですけどね。ときどきはリフレッシュしたいです。。

 

しかし今回ちょっと悔しかったのが、劇場に足を運んだのが遅かったこと。

もうとっくにグッズの販売も終了していて悲しいことこの上なし。

Amazonではまだ売ってますけどね。ぬいぐるみかわいい。。

 

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ジャム・セッション 石橋財団コレクション×毛利悠子—ピュシスについて

ジャム・セッション 石橋財団コレクション×毛利悠子—ピュシスについて

www.artizon.museum

 

ジャム・セッション 石橋財団コレクション×毛利悠子—ピュシスについて、すでに終了しましたが、すごく良かったので記録として書いておきます。

※長文です。

 

毛利悠子作品が好きなものありますが、作品を読み解く面白さがあって結果的に3回展覧会に足を運びました。

…というか正直なところ、展覧会にキャプションないし、ハンドガイドも作品名だけだし、最初見たときに全然わからなくて。でも絶対説明を聞けばわかるはずと思い、担当の内海学芸員トーク、毛利悠子さんのトークと合わせて3回通ったという感じです。

トークを聞くたびに、作品の仕組みと理解が進んで面白かったのですが、毎回話者の「展覧会に関する情報量が多すぎ」て時間切れになるというw

でも、2回のトークで得られた内容だけでもかなりかなり面白く、行くたびに楽しくなっていったという展覧会でした。

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まず、デコンポジション。生ものは展示室で展示できないという制約から、仕方なくここに展示したようですが、本展の入り口にふさわしい展示だったと思います。

電極を差した果物の抵抗を音に変換して出力するという作品。果物は展示期間とともに朽ちていくので音自体も変化していきます。

↓一回目の訪問時の果物たち。

↓三回目の訪問時の果物たち(果物は会期中何回か入れ替えられています)。

 

 

果物が朽ちていく様子をそのまま展示するというのが(ブラックの静物画をモチーフにしてるのに)日本画の九相図みたいで、面白かったですね。

 

あと、印象的だったのがモネのリベールの作品。まさかと思ったけど、毛利さんが実際にリベールに行って撮影したんですね。さすがアーティゾン美術館。

波のざばーんざばーんという音に合わせて、自動演奏ピアノが鍵盤をならし、その協演を楽しむという作品。初日近傍で自動演奏ピアノが故障。急遽交換され、(ピアノの負荷を低減するため)波音とのシンクロの率を下げたらしく、ピアノの演奏が少々寂しかったのが残念。

 

それと毛利さんの代表作。I/O。やっぱ大好き。

解説↓

木枠のついた構造体から垂れ下がるロール紙がモーターによって緩慢に回転し、床の埃を付着させると、センサーが汚れを信号として読み取り[input]、それがトリガーとなって電球の瞬きやベルリラの音、毛ばたきやブラインド、トイレットペーパーの動き、それが垂れる水槽の水面へと波紋を広げていきます[output]

最初、東京都現代美術館でI/Oを見たとき、大きい作品なのに何が何だかさっぱり分からなかったのですが、その仕組みを理解して「なるほど!」と。

意味の分からん→分かったー!のギャップの大きさがまた毛利作品の魅力だなと思いました。

埃のセンシングの結果を受けて動く羽箒みたいなの↓が小動物みたいでめちゃかわいいのです。

(以前、娘とI/Oを見たときも喜んでいたなあ)

 

好きな作品を列挙していきます。

まずは鬼火。これよかったなあ。光がささやか過ぎてiPhoneでは撮影しきれなかったけど。

扇風機の風が吹くと鉄のカーテンが揺れ、金属の網に触れると網に流れていた微弱な電気が通電し小さな火がぱちぱちと見える。また、通電に応じて、鉄琴の音が流れるというもの。光も音も幽玄のような世界で、素晴らしかったです。もうずーっと居たかったぐらい。

 

あと、コールズ(左)とブランクーシの「接吻」(右)ですね。わかりにくいですが、奥のデュシャン作品(コイル群の作品)に繋がってます。

コイルの作品群はこんな感じ。

分かりにくいですがコイル内には方位磁石があり、それがスイッチとなってオンになると、先ほど説明した、コールズの下部の2つの電磁石もオンになり、上部のフォークが左右にゆらゆら揺れます。そして、フォークの傍に置かれたグラスをチン!チン!と鳴らすというもの。

ブランクーシの接吻の引力と、磁石の引力とを並べるているのが面白い。

 

あとは、今回最も見ごたえがあったデュシャンの大ガラスをモチーフにした作品。

これ、最初、全然意味が分からなかったのですが、学芸員さんと毛利さんの解説を聞いてようやく理解することができました。 とりあえず 私が分かっている範囲で書きます…

 

まず「大ガラス」について布施先生の解説がすごく分かりやすかったので貼り付けておきます。

youtu.be

 

毛利悠子さんの大ガラスの作品の全体像はこんな感じ。手前が大ガラスの「独身者の領域」、壁の向こうが「花嫁の領域」です。

まず、アーティゾン所蔵のデュシャンの大ガラスのミニチュア。これ、確か日本に何個かしかない作品なんですよ。アーティゾンが持ってたんだと驚きました。

私が作ったメモも貼っておきます。

先ほどの方位磁石付きのコイル群は、上記メモの「独身者たち(洋服みたいなものがぶら下がっている部分)」に相当します。

 

「検眼医の部分」↓は、金属板でできていて、上の銀製のタッセルのようなものがゆっくりと回転してき、タッセルが金属部分に触れると通電する仕組みになっています。回線しながらオンオフが切り替わる。

この検眼医の模様とかタッセルとかがかっこいい…。

タッセルが検眼医の金属板に触れて通電すると、画面奥の壁の向こうの作品(花嫁の領域の作品)を動作させます。花嫁の領域については後で書きます。

 

また、検眼医の下のtoboggan(跳ね返り)部分には、「おろち」があります。「おろち」:アンプで増幅された音源がケーブルが経由して流れています。ぐるぐる巻かれたケーブルの中には振り子のようなものがあり、「見えない音」がコイルにより振り子を静かに揺らします。

これ、後から気が付いたんですが、「おろち」ってスピーカーの基本原理なんですよね。

毛利さんのトークショウで、毛利さんが高校時代からオーディオ好きだった話をされていて(それが、後に音と電気を使った作品に繋がっていく)、なるほどなあと。

さて、花嫁の領域。

独身者の領域の検眼医から接続されたケーブルは、壁を貫通し、花嫁の領域の扇風機に接続されています。その扇風機の傍には、スキャナーがあり、そのスキャナーの上にはレースの布が置かれています。

このレースは、毛利さんが西日暮里の布問屋のレース屋を探しまくって、ようやく「ウェディング用のレース」が置かれている店で発見したそうです。

まさに花嫁のベール!

検眼医側のタッセルが金属に触れて通電すると扇風機がオンになり、風でベールがはためき、その様子はスキャナーにより撮影され、随時上部の3つのモニターに投影されます。

いわば独身者によるスカートめくりが連続的に撮影されてるような感じです(めちゃセクシー)。作品タイトルもズバリ「めくる装置、3つのベール」。

↓ベールの映る3つのモニターが、デュシャンの大ガラスの花嫁側にある「チャンバー」に相当します。

 

写真下にあるラジオ群は、大ガラスの「9スポッツ」に相当するもので、何か不思議な音を受信して流しています。。

この音、不思議で、(毛利さんに伺った話によると)「口をくちゃくちゃするというか、舌打ちするときの音」とのこと。へー。

この作品は、コロナ渦に「飛沫」というものが今までとは異なる意味でとらえられるようになったことを受けて作った作品で、「9スポッツ」=飛沫と考え、この位置に配置したとのことです。なるほどー!

 

…とここまで読み解くのに、結構な時間がかかったのですが、読み解けるとめちゃ面白い。やっぱり毛利悠子さん最高だなと思いました。

 

そして、マグネティックオルガン。毛利さんの卒業制作作品(2004年)を再度製作したものとか。写真右のアンテナのようなものから強力な磁場が出ていて、モビールにぶら下がったコイルに近づくと、コイル内の音を出すパーツ(名前失念)が鈴虫のような音を鳴らします。奥に配置されているクレーの絵画とのコラボレーションが本当に美しい。どの方法から撮っても絵になります。

これモビールになっているから、コイルの位置も動くんですね。それに応じて音も聞こえたり聞こえなかったり。ほんとにささやかな音なので、耳を澄まさなければ聞こえないぐらい。最初、全然音が聞こえなくて、警備員さんに「これ壊れているんですか?」と聞いてしまったぐらいw

 

全体を通しても、よき作品多数で大満足。

 

改めて。

毛利悠子さんの作品って、見えないものを大規模な装置でささやかな音や動きで表現する。そのささやかさがなんだかとても日本人らしいなと思うのです。

→なので海外でも大人気なのは納得。

実際、毛利さんは海外での展示が圧倒的に多く、ほんとにここまで多くの毛利悠子作品が集結する展覧会はもう日本国内では見られないのではないかと思いました。

ほんと素晴らしい展覧会を開催してくれたアーティゾン美術館に感謝。

次回のジャムセッションも楽しみです。

 

余談ですが、本展の図録を読んでいたら、毛利悠子さんが影響?を受けた本として、以下の本を挙げていてめちゃくちゃ納得しました。

磁力と重力の発見〈1〉古代・中世

 

山本義隆先生、予備校時代に授業を受けました。受験生時代、物理が何とかなったのは山本先生のお陰。勝手に感謝しております。