トム・サックス ティーセレモニー@オペラシティギャラリーに行って来ました。
トム・サックスと言えば、以前、森美術館で「宇宙と芸術」で見た
手先の器用な小学生が一生懸命作った風?の壮大かつ精緻なるペーパークラフト作品を見てから、ファンになりました。
今回の展覧会も、トム・サックスの展覧会というだけでわくわくなのですが、テーマが「茶道」。ええ?!と思ったけれど、Webサイトで展示作品の様子を見たら、確かにトム・サックス節が全開で。期待以上の展覧会でした。
まあ、最初からびっくりしましたよ。池がありまして。
大きな錦鯉が泳いでいました。
飛行機のトイレみたいな超コンパクトな厠がありました。
どうでもいいことですが、上記の厠の作品のディティールが割とツボで。この感じ、どこかで・・・と思って思い出しました。タルコフスキーの「ソラリス」!
未来で、宇宙なのに、荒んでいる。。あの感じは「ソラリス」だわーと一人ツボってました。
もう一度見直したいな・・・。
話をトムサックスに戻します。池の側に庭のお掃除セットがありました。
手水があり、待合があり。
庭には松がありました。
そして、茶室が現れました。
炉は切っていないけれど、お茶を淹れる電気ポットが用意されており、茶室に入ってから瞑想するためのカウンタータイマが用意されておりました。左手奥は書をしたためるためのペンセットがスタンバイ。
お茶道具もNASAのマーク入りだし、茶筅はマキタの電動モータで回転するもの。
お茶菓子(干菓子)としてのペッツ。ここにもヨーダが!
茶碗はNASAのマーク入り。
トムサックス自身が、展示されていたしつらえを用いて、どのように茶会を準備し、茶会を開催したかを収めた映像作品も鑑賞できます。
パイプ椅子ももちろんNASAで、背側にはNASAの飛行士の名前が書き込まれています。
いやもう、ふざけているのかと思いきや、トム・サックスさんマジ本気。
「トム・サックスは茶の湯の精神や価値観を、21世紀の宇宙開拓時代に必須の人間活動の一つとして考え、ティーセレモニー(茶会、茶道)に真摯に向き合っています。」
というフレーズは、展覧会を見る前は???でしたが、展覧会を見るとめちゃ腹落ちしました。隅々まで茶の精神(と宇宙)を感じるデザイン。荒っぽいようで詰められたデザインに痺れました。
というか、この荒っぽいのにかなりツメたクレイジーなディテール(本気)、というところまでは普通のトム・サックス的な面白さなのですか、本人が本気で茶道に取り組み、荒っぽいツメたディテール作品という一見茶道と真反対の外見のものが、実は隅々まで(これ以上ないぐらい)茶の精神をあらわしたものだと分かると、おおお!と思う。
自分の中で華麗なる?意識の反転みたいなものが起こったのがすんごく面白かったですね。
で、上記の「宇宙時代の精神を整える活動としての茶道」というコンセプトを頭に入れつつ作品を見ると、トムサックス的なディテールが茶道の文脈で生き生きと立ち上がる。
見た目が古典的な意味での茶道とは違うモノであるぶん、その精神がビシバシ伝わるというか。茶道をやってる人の方がたぶんもっとビシバシ感じるんだろうけど、素人でも充分感じられて、これはすごいなと。
で、帰宅して、我が家もティーセレモニーを・・。
お茶菓子は、ヨーダとオレオ。
(展覧会で映像作品見た人ならニヤっとする組み合わせですよねw)
展覧会は6/23迄。
グッズ、大変な人気で、全て完売だそうです・・・。
トム・サックスの作品は小山登美夫ギャラリーや、KOMAGOME1-14casでも見られます。
トムサックス氏、ナイキとコラボしたり↓
(このデザイン、コンセプト!かなりクレイジーで好き)
かなり人気があるのに、和訳された作品集がほとんどないんですね・・・。
洋書をいくつかリンクしておきます。
しかし、お値段高くて手が出ない(泣
茶の湯を理解するうえで、やはり外せないのは岡倉天心の「茶の本」。
今回の展覧会を見ていて、読書会で読んでおいてよかったなあと思いました。
おすすめの一冊です。