先日のマティスの「ダンスⅡ」以降も、画集などや書籍でマティスのことを
いろいろ調べていてました。
やっぱり面白いんですよね。マティス。油絵の時代もいいんですが、
やはり切り絵を始めてからが、うんと面白い。
例えば、ブルーヌードとか。
「ダンス」とか躍動する肉体をモチーフにしたものが、油絵だと
ヘタウマ(失礼)レベルなんだけど、切り絵になったとたん、
切り絵の曲線が肉体の肉感?みたいなものにハマって実にいいんですよね。
油絵で何度も表現の練習をしていたものが、切り絵という媒体を
得て、爆発したというか。
でもそれぐらい線が、計算しつくされたものになっていると思いました。
で、マティスが切り絵を始める前の作品をいろいろ見ていて、
気になったのが、この「バラ色の裸婦」でした。
この作品の肉体の感じは、まさしく後のブルーヌード等に登場する
肉体のラインだなと思って。かつ、絵柄的にクッキーで
作ってみたら面白いなと思って、作ったのがコレ↓
いや、実は、最初作ったときは失敗したなと思いました。。
だって、コピーして型どりして焼いたら、意外と膨らんでしまって
背景の絵から、裸体が飛び出してしまったんですもんw
でも、角皿に乗せて、見本の絵と並べて撮影してみたら、
「画中の裸婦の豊満な肉体、思わず額装から飛び出す」
的な面白い画が撮れまして、これはこれで面白いかもと
ブログに載せた次第です。
で、クッキーでマティスの裸婦(少し立体的に作ったので
2.3次元ぐらいかな)を作ってみて思ったのは、
「バラ色の裸婦」の肉体って、
かなりのボリュームなんですよね。
裸体はけっこう画面いっぱいで、納まりきれなくて一部切れてるぐらいw
これがまさしくマティスの描きたい肉体なんだけど
(ブルーヌード等から感じた印象)
これにボリューム盛ったら大変なことになる。
なので、肉体を平面的に描いて、見たときにちょうどいい
塩梅にしてるんだなと。
背景の色とのバランス含め、平面構成のバランスが実にいい。
ちなみに、私の作品の背景は色画用紙で作りましたが、
「意外と実作品の雰囲気出せてるな」
と思いました。色画用紙で作ってこれだけ実作品に近い
雰囲気が出せるということは、
「マティス、もうこの時期から切り絵の布石?
みたいなものはできていた」
ってことなんですよね。これを実際、自分の手を動かしながら
実感できたのはほんと面白かったです。
&裸体部分のクッキー生地を切り出しているとき、
ほーーーーんと気持ちよかったんですよね。
あの肉体の線を自分で切り出せる気持ちよさ。
↓クッキーの切り出し作業はこんな感じでした
(上の方が裸婦)
「バラ色の裸婦」は油絵ですけど、こうやってシルエットだけを
切り出してみると、切り絵的なんですよね。
ほんとブルーヌード的な切り絵のラインは
もう完成してなんだなって実感しましたね。
これはクッキーを作ってみたからこそ、分かったこと。。
マティスの「線」「肉体」、(そこから自らも湧き立つような)
「躍動」みたいなものが、ホントいいなあと思って。
それが一番、結実しているのが、晩年の「スイミングプール」だと思います。
マティスの展覧会の様子をレポートしたブログを発見したので貼り付けておきました↓
私は画集でしか見たことがないのですが、大きな作品で、
ぐるりと見ていると、本当に身体と波と感覚のダイナミズム
みたいなものがぐわーっと来そうな作品だなと思いました。
この作品、プールで泳ぎたいけど、
日差しが強くて泳げないマティスが
「そんじゃあ、わし、自分のプールを作るわ」
と作った作品とかw
マティスの感覚が肉体を超えて泳ぎ出してる。
そして、それを私たち鑑賞者も体験できるような・・
ちょっとヴァーチャルリアリティ的なすごい作品だと思います。
そういう作品を作るようになったのが、
彼が病気をして、油絵を描くことができなくなってから
というのがまた面白いですよね。
できなくなったことで感覚が研ぎ澄まされ、
別のチャンネルが開く。
最晩年ぐらいの作品が一番面白いって、芸術家として最高だなと思います。
マティスの作品、実はもう1つ作りました。
長くなるので、この作品については別エントリで紹介します。