美術部部室の中の人のブログ

アート好きな50代の女のブログです 

マティス「バラ色の裸婦」

先日のマティスの「ダンスⅡ」以降も、画集などや書籍でマティスのことを

いろいろ調べていてました。

やっぱり面白いんですよね。マティス。油絵の時代もいいんですが、

やはり切り絵を始めてからが、うんと面白い。

例えば、ブルーヌードとか。

www.musey.net

「ダンス」とか躍動する肉体をモチーフにしたものが、油絵だと

ヘタウマ(失礼)レベルなんだけど、切り絵になったとたん、

切り絵の曲線が肉体の肉感?みたいなものにハマって実にいいんですよね。

油絵で何度も表現の練習をしていたものが、切り絵という媒体を

得て、爆発したというか。

でもそれぐらい線が、計算しつくされたものになっていると思いました。

で、マティスが切り絵を始める前の作品をいろいろ見ていて、

気になったのが、この「バラ色の裸婦」でした。

この作品の肉体の感じは、まさしく後のブルーヌード等に登場する

肉体のラインだなと思って。かつ、絵柄的にクッキーで

作ってみたら面白いなと思って、作ったのがコレ↓

いや、実は、最初作ったときは失敗したなと思いました。。

だって、コピーして型どりして焼いたら、意外と膨らんでしまって

背景の絵から、裸体が飛び出してしまったんですもんw

でも、角皿に乗せて、見本の絵と並べて撮影してみたら、

 

「画中の裸婦の豊満な肉体、思わず額装から飛び出す」

 

的な面白い画が撮れまして、これはこれで面白いかもと

ブログに載せた次第です。

 

で、クッキーでマティスの裸婦(少し立体的に作ったので

2.3次元ぐらいかな)を作ってみて思ったのは、

「バラ色の裸婦」の肉体って、

かなりのボリュームなんですよね。

裸体はけっこう画面いっぱいで、納まりきれなくて一部切れてるぐらいw

これがまさしくマティスの描きたい肉体なんだけど

ブルーヌード等から感じた印象)

これにボリューム盛ったら大変なことになる。

なので、肉体を平面的に描いて、見たときにちょうどいい

塩梅にしてるんだなと。

背景の色とのバランス含め、平面構成のバランスが実にいい。

 

ちなみに、私の作品の背景は色画用紙で作りましたが、

「意外と実作品の雰囲気出せてるな」

と思いました。色画用紙で作ってこれだけ実作品に近い

雰囲気が出せるということは、

 

マティス、もうこの時期から切り絵の布石?

みたいなものはできていた」

 

ってことなんですよね。これを実際、自分の手を動かしながら

実感できたのはほんと面白かったです。

 

&裸体部分のクッキー生地を切り出しているとき、

ほーーーーんと気持ちよかったんですよね。

あの肉体の線を自分で切り出せる気持ちよさ。

↓クッキーの切り出し作業はこんな感じでした

(上の方が裸婦)

「バラ色の裸婦」は油絵ですけど、こうやってシルエットだけを

切り出してみると、切り絵的なんですよね。

ほんとブルーヌード的な切り絵のラインは

もう完成してなんだなって実感しましたね。

これはクッキーを作ってみたからこそ、分かったこと。。

 

マティスの「線」「肉体」、(そこから自らも湧き立つような)

「躍動」みたいなものが、ホントいいなあと思って。

それが一番、結実しているのが、晩年の「スイミングプール」だと思います。

 

マティスの展覧会の様子をレポートしたブログを発見したので貼り付けておきました↓

nykanwa.blogspot.jp

私は画集でしか見たことがないのですが、大きな作品で、

ぐるりと見ていると、本当に身体と波と感覚のダイナミズム

みたいなものがぐわーっと来そうな作品だなと思いました。

 

この作品、プールで泳ぎたいけど、

日差しが強くて泳げないマティス

「そんじゃあ、わし、自分のプールを作るわ」

と作った作品とかw

 

マティスの感覚が肉体を超えて泳ぎ出してる。

そして、それを私たち鑑賞者も体験できるような・・

ちょっとヴァーチャルリアリティ的なすごい作品だと思います。

 

そういう作品を作るようになったのが、

彼が病気をして、油絵を描くことができなくなってから

というのがまた面白いですよね。

できなくなったことで感覚が研ぎ澄まされ、

別のチャンネルが開く。

最晩年ぐらいの作品が一番面白いって、芸術家として最高だなと思います。

 

マティスの作品、実はもう1つ作りました。

長くなるので、この作品については別エントリで紹介します。