美術部部室の中の人のブログ

アート好きな50代の女のブログです 

吉村芳生展@東京ステーションギャラリー

吉村芳生展@東京ステーションギャラリーを見てきました。

 

 

きっかけは、ブログ青い日記帳

タケさんの記事を読んだら、「これは見なくては」と思い、半休をとって足を運んだところ、これがかなりよかったです!

 

展覧会の会場内は撮影禁止だったので、展覧会の様子は、美術手帖の記事を見ていただくとして。。

bijutsutecho.com

まずは、延々と続く「金網」の絵。

紙を継ぎ足し、継ぎ足し、延々とも続く金網。

お経ですか。

写経ですか。

かなりツボで、しょっぱなからかなりテンションが上がりました。

その他、写真を細かいメッシュに分けて、黒の濃さを(手動で)10段階に分けて描いた(これももちろん手動)作品など。

ジーンズ、道路など、何気ない風景がまるで「新聞の写真(ドットで描かれた絵)」のように描かれていて、これも良かった・・・んですが、やはり圧巻だったのは「百花繚乱」の部屋。

 

吉村氏が創作に行き詰まり、故郷山口に帰って触れた自然。その中で見つけたモチーフ「花」。これが吉村氏のスーパーリアリズムにどんぴしゃで。

いままで吉村氏のスーパーリアリズムが、硬質な「静物」だったのに対し、これが故郷山口の「花」と出会った途端、圧倒的な「生」へ転換される。

その鮮やかさも含めて、百花繚乱の部屋はかなりインパクトがありました。

 

《ケシ》で描かれるケシの花の妖しいまでの紅。

《コスモス》はあの世の風景としか思えなかったし、

震災で亡くなった人々の命を描いたという圧倒的密度の藤の花の作品《無数の輝く生命に捧ぐ》は、実際の藤の写真を作者自身が編集してモチーフにしたものだけど、編集したせいか、藤の背景の余白が効いているのか・・・人工的なリアリティが極まって、写真以上にブワっと前に迫ってくる感じだったし。

作品の雰囲気は松井冬子さんの 《世界中の子と友達になれる》を連想しました。あれもかなり狂気な作品ですよね・・。

 

あとは、《未知なる世界からの視点》。

川の傍に咲く花と、川面に映る花とを上下逆に描いた作品なのですが、この作品の画面上側の「川」は間違いなく「三途の川」だと思いました。

なので、川面に写った花は、あの世に咲く花(と、解釈しました)。

彼岸の花だと。

 

ちなみに、作者がモチーフにした川の姿を確認したくて、思わずショップでロングタイプのポストカードも購入。

↓これが展覧会で展示されている向き(正位置)で

↓これが逆位置

やはり、展覧会で展示されている位置(正位置)の方が、めっちゃ不思議な印象を与える。まさにあの世の風景。「川面に映る虚像」と「川の傍らある実物」の虚実反転具合がうまく演出されていて、ホント傑作だなあと思いました。

 

あとは、吉村氏の絶筆《コスモス》ですよね。。

絵が途中で終わっている。

で、終わっているのが、画面の右1.5割を空白にした状態なんですよね。キャプションを読むと、吉村氏の絵の描き方(メッシュで区切ったところを端っこから埋めていく方式)が分かる作品とのことでしたが、この絶筆さ加減も含めて、この作品に「生と死」を焼き付けてしまったなあという印象があります。

 

決して未完成じゃない。画竜点睛感があります。

 

なので、この絶筆《コスモス》も含めて「百花繚乱」の部屋は、圧倒的な「生と死」だなと。展示空間としてもかなり「彼岸」感があり、心に残りました。

 

展覧会は来年1月20日までですが、先日日曜に展覧会(2度め)を見に行ったところ、口コミで人気が出ているのか、観客が多くて驚きました(失礼)。

早めに足を運ばれることをオススメします!

 

追記

東京ステーションギャラリーで割としっかりとした展示を見たせいか、ちょっと休憩したくて(でも、ステーションギャラリーには併設カフェがないのです・・・)。

そうえば、ステーションホテルにトラヤトウキョウがあったなと思い出して、立ち寄ってみたらすごく良かったです!

www.tokyostationhotel.jp

東京駅のレンガ外壁を活かしたインテリアもよいし、ゆったりとしたレトロな雰囲気も◎。トラヤトウキョウでしか食べられないお菓子(ここ以外だとパリ店でしか買えないお菓子。ポワールキャラメル羊羹など)もあってかなりオススメです!

 

先日訪問したときに、私がオーダしたのはTOKYOプレート。

ポワールキャラメル羊羹や、夜の梅など、人気の羊羹を少しずつ載せたお得なプレート。珈琲もつけて1700円ぐらいだったかな。

さすが、とらや。美味しかったです。

私が座った席には、大好きなフィリップ・ワイズベッカーさんの作品(東京駅の絵)が飾られていて、めっちゃ嬉しかった・・・。

フィリップ・ワイズベッカーさんは、とらやの羊羹用のイラストを描いているんですよね。この絵以外にももう一点、店内に展示されています(写真の左奥)。

 

目も舌も大満足。

平日は20時半ラストオーダ。結構遅くまで営業しているのも嬉しいですね。

展覧会の帰りのお茶タイムにオススメです。

 

↓フィリップ・ワイズベッカーさんの絵はほんと素敵。

作品集、やっぱり欲しいなあ。

 

 

追記

帰りにkitteでクリスマスツリーを見て来ました。

大きい~。

これ、ホントのモミの木を運び込んでいるんですよね。すごい。。