今回のMOTコレクション展と同時開催されていた、「マーク・マンダース 保存と展示」を見てきました。
今年6月ぐらいに見た「マーク・マンダースの不在」(多分今年ベストぐらいに良かった!)の再構成版とのこと。
結論から言うと、「マーク・マンダースの不在」の方が圧倒的に良かったんだけれども、今回の「保存と展示」を見ることで、「マーク・マンダースの不在」で、「わたしが一体何を見たのか、感じたのか」が浮き彫りになったような気がしました。
あの「マーク・マンダースの不在」は、作品単体でももちろん素晴らしいものですが、作品の配置や作品同士の距離が醸し出す雰囲気、見えない緊張感や「場」のようなもの。それこそがわたしがマーク・マンダースの展覧会に感動しているものの正体だし、おそらくマーク・マンダースが行っている「唯一無二の表現」だと実感しました。
とはいえ、(上記のとおり)マークマンダースって作品単体でも大好きなんですよ。
このマーク・マンダース《マインド・スタディ》とか。大好きです。
分かりますか。このテーブル、足で支えていない。椅子が支えているんです。そして、上部の人物像とのバランス!
折りたたまれた衣類。この作品が唯一の人の気配をリアルに感じさせる作品。
これは、かなりわかりやすく「マークマンダースは不在」。
《狐、鼠、ベルト》
右下の作品も好きなんですよね。分かりづらいかもしれませんが、文具を配置して、架空の住居の平面図を描いています。これらの作品が展示された空間も印象的でした。
「~不在」では、これらの作品がポリシートの間仕切りで区切られていて、それらがまるで「マーク・マンダース」邸の各部屋のような雰囲気だったのですが、今回は間仕切りなし。雰囲気ががらりと違う。
これは東京都現代美術館のコレクション展でも見た《椅子の上の乾いた像》。コレクション展で見たときの印象、「~不在」で見たときの印象、今回の展示で見たときの印象がまるで違う。
最初見たときは、何がなんだかさっぱりわからなかったけれど、「~不在」で一連の作品の流れで見て、ああなるほど!と腹落ちした作品です。
今回の展示でもポリの間仕切りはあるものの、もはや部屋をイメージさせる間仕切りとは違うものでしたね。
これもすごく好きな作品。《2つの動かない頭部》。もう何年ここにあるのですか?って感じの貫禄ある雰囲気がいいですね。時間も空間も超えてる。
今回の「保管と展示」、「~不在」展の演者(作品)が展示空間での役割を完全にオフして館内で保管されている状態かといえば、そうでもない。保管されつつ、前回ほどのキメッキメの演出ではないにしろ「展示」されている(オンの状態)。
めっちゃ稀有な展示です。
そして、この何とも言えない宙ぶらりんさは、コロナ渦におけるアーティストの姿も連想し…今回のMOTコレクションの趣旨からしてもかなりグッとくる展示でした。
本展、MOTコレクション展と同時開催で、MOTコレクションの入場料で鑑賞できます。入場料500円。安い…。10月17日まで。
「マークマンダースの不在」の図録、amazonでも売ってました。
ショップで買いそびれたのでamazonで注文しよう、そうしよう。