昨日、すべりこみでクリスチャンマークレーの展覧会に行ってきました。
めっちゃ良かったです。もう、なんでもっと早く行かなかったんだろう!
と激しく後悔したぐらい。
正直なところ、展覧会のチラシを見ただけでは、クリスチャンマークレーが行っている活動がよく分からなかった…、でもTwitterでの評判がかなりよいので、学芸員の藪前さんが解説する日を狙って、半休を取り入ってきたら、
ああ、こういうことだったんだ!
百聞は一見にしかず。
いや、マークレーの場合、音もあるか…。
それはさておき、展覧会に足を運び、藪前さんの解説を聞いて、
ようやくこの作家の面白さに気づきました。
藪前さんが解説する日に行ってよかった~!!
たとえば、《ボディ・ミックス》。絵的に思わず笑ってしまうのですが、
上半身は(支配的かつ偶像的な)男性、下半身は無名の女性で統一されているあたりにマークレーの意思を感じます。
これも良かったなあ。
《コーラス》。いやほんとに見ているだけで、音(コーラス)が聞こえてきそうな写真選びのセンス、エディットの妙。
《アクションズ》。これも、先にマンガなどのオノマトペのスコアを用意し、それに合わせて、高いところから絵の具を落とす(そのオノマトペの音がする)。その後、オノマトペの文字をシルクスクリーンで刷り込むという、先に「音ありき」の作品だと聞くと面白さ倍増。
《エフィメラ》マークレーは「音楽が印刷されたもの」の収集が好きで、それらを組み合わせてコラージュしたもの。というだけでなく、これが複数の楽器で演奏可能な「楽譜」でもあると聞き、びっくり。大友良英さんが演奏したとのこと。
これも面白かったなあ《ノー!》。これもコラージュといえばコラージュなのですが、より楽譜に近いというか。パフォーマは、これに基づき発話とか体の動きも再現できるように構成されています。絵としても面白いし、一連の動作として見るとさらに面白くて、じっと読んでしまいました。
《リサイクルされたレコード》これはレコードのコラージュ。ビジュアルとしてコラージュされているだけでなく「音のコラージュ」でもある。どんな音が聞こえるんだろう?と想像するだけで面白い作品。
《叫び》は、展覧会で一番ぐらいにインパクトがあった作品。かなり大判の作品でしたし、日本のマンガをコラージュしてるのもよいです。
マークレー曰く、ムンクの叫びをモチーフにしているようでしたけど、この半端ない口の開き方。scream!!感を全開させる木目の縦線の様子がフランシス・ベーコンの「教皇インノケンティウス」を連想させて、ツボでした。
※フランシス・ベーコンの「教皇インノケンティウス」自体もちょっと日本のマンガっぽい表現ですよね。
《スクリーン・プレイ》
オノマトペがスクリーンに躍動する映像作品、音はないのに脳内で再生されるオノマトペ音!
《フェイス》これはチラシやポスターにも使われていたフェイス。コロナ渦で制作された作品とか。コラージュ作品としてもほんと上手いし、コロナ渦で「叫びたい」「話したい」「不満をぶちまけたい」そんな衝動がほんと凝縮された作品だと思いました。
これまでのマークレー作品を見ても、視覚的なものから音の想像はできたけど、これは自分の体験からも湧き出る「叫び」の衝動のようなものが作品と響き合って、強く印象に残った作品でした。
ほんとに魅力的な作品がたくさんあったのですが、もうずっとずっと見ていたいぐらい気に入ったのが、この《ビデオ・カルテット》。古今東西の映画のシーンを4つのスクリーンでコラージュした作品。これ映画好きな私には堪らない作品でした。映像を見ながら、すぐとなりの映像とのリンクや、音の面白さを楽しみつつ、あの作品のあのシーンをサンプリングしたんだ!とか、ニヤニヤしっぱなし。14分の映像がほんとあっという間でした。
どれもこれも全部面白く、今年のベストに入ることは確実です!
まだ図録が出来上がっていないようなのですが、出たら買ってしまうかも…。
東京都現代美術館の次回の展覧会は特撮系。
こちらの展覧会もかなり期待しています!